日中関係に期待「新たな段階へ」 程永華・中国大使インタビュー 李首相訪日で相互信頼増す

インタビューに答える中国の程永華大使=6日、東京都港区
インタビューに答える中国の程永華大使=6日、東京都港区
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 中国の程永華大使が西日本新聞のインタビューに応じた。中国首相の8年ぶりの公式訪問となった5月の李克強首相訪日の成果について「中日関係を正常な発展の軌道に戻すことができた」と評価。今後の両国首脳の往来などを通じて「関係をさらに新しい段階にまで進めることができる」と強い期待感を示した。

 -今年は日中平和友好条約締結40周年。節目の年の李首相訪日をどう評価するか。

 「李首相は今回の訪問を『両国の平和、友好、協力事業の再出航』と評価し、安倍晋三首相は『日中関係は競争から協調の時代に入った』と表明した。両首脳の言葉に見られる通り、両国関係を正常な発展の軌道に戻すことにつながった訪日だった」

 -最大の具体的成果は。

 「政治的には、相互信頼の再構築だ。ここ数年、両国関係にはさまざまな波風があったが、その大きな原因は相互信頼、特に政治面での相互信頼が著しく欠けていたことだと思う。今回、両首脳がさまざまな問題について突っ込んで意見を交換したことで、信頼の再構築という方向へ転換できた。双方は経済分野では第三国市場における協力などの文書に調印し、相互補完関係が強化された。文化交流でも大きな成果があった」

 -中国の提唱する経済圏構想「一帯一路」には、日本側になお警戒論がある。

 「日本側には、中国の勢力範囲拡大のための構想という見方があるが、事実ではない。一帯一路の3原則は『共に協議し、共に建設し、共に成果を分かち合う』。日本側から新しいアイデアや関心があれば、互いに相談し、一致した部分を一緒に実行していく。今回、政府間で積極的な姿勢を示すことができたので、民間もより安心して参加できるようになっただろう」

 -安倍首相は自身の年内の訪中、そして来年には習近平国家主席の訪日を期待しているが。

 「この8年、両国の要人往来が途絶えたことは大変残念なことだった。李首相は訪日の際、安倍首相が適当な時期に訪中するよう招請した。双方は両国関係の安定した改善、発展の勢いを保ち、ハイレベル往来を通じて、中日関係をさらに新しい段階にまで進めることができると期待している」

 -「戦略的互恵関係」の推進を約束した「第4の政治文書」と呼ばれる日中共同声明から10年。この間、両国を取り巻く環境は大きく変化した。第5の政治文書が必要な時期では。

 「日本でそのような声が上がっていることには留意しているが、まずは両政府間の四つの政治文書と4項目の共通認識の原則を守って関係を発展させていくことが大切だ。関係の発展に伴い、双方から必要だという声が高まっていけば、自然と政府間でそういう(第5の政治文書に向けた)作業になると思う」

 -日中の協力は、東アジアや世界への貢献にもつながる。北朝鮮問題でも中国への期待は大きい。

 「世界的に保護貿易主義的な動きが出ている時に、中日が自由貿易体制、多国間貿易ルールの堅持を訴える声を上げることも、世界の平和、繁栄への力となる。北朝鮮問題に関しては、対話によって朝鮮半島の平和と安定を実現することが中日双方にとって重要だ。まず中心議題となるのは朝鮮半島の非核化だ。関係国が非核化に向けた対話をする中で、日本も関心事である拉致問題を取り上げることができる。対話をしないと、そういうチャンスも出てこない」

=2018/06/9付 西日本新聞朝刊=

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