「原爆の子」広がるレガシー アラスカの図書館に禎子さん資料

アラスカ州の大学図書館に開設された「禎子の遺産」コーナー(二之湯俊治さん提供)
アラスカ州の大学図書館に開設された「禎子の遺産」コーナー(二之湯俊治さん提供)
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展示施設には、佐々木雅弘さんの折り鶴(本の右隣の小型ケース)などが展示されている。右下の丸写真は折り鶴の拡大写真
展示施設には、佐々木雅弘さんの折り鶴(本の右隣の小型ケース)などが展示されている。右下の丸写真は折り鶴の拡大写真
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 「核なき世界願い」

 広島で被爆後、12歳で亡くなり、「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんを紹介するコーナー「禎子の遺産」が、米アラスカ州の大学図書館に新設された。同州の高校生らが昨春、福岡市を訪れた際に禎子さんの兄、雅弘さん(76)=福岡県那珂川町=と交流。雅弘さんが平和への願いを込めて作った折り鶴が同館に寄贈され、禎子さんの説明板とともに展示されることになった。「核兵器のない平和な世界について考える場に」と、設置に尽力した日米の関係者は願っている。

 コーナーが開設されたのは、同州アンカレジ市にあるアラスカ大アンカレジ校とアラスカパシフィック大の共同図書館。1階ホールの一角で、広さ約8平方メートル。ガラスケースに雅弘さんが作った2羽の鶴がつながる「連鶴」タイプの折り鶴や、禎子さんについて書かれた日本語の本などを展示している。説明板は日本語と英語で書かれ、禎子さんの生涯が写真とともに紹介されている。

 懸け橋となったのは、同州のコロニー高校。日本語を学ぶ米国人生徒ら12人が昨年3月、春休みを利用して来日した際、知人を介し知り合った雅弘さんに福岡市で話を聞く機会があった。雅弘さんは禎子さんについて語り、自作の折り鶴を贈った。

 一行を引率した同校の日本語教諭、二之湯俊治さん(68)は、雅弘さんの話に心を動かされ「禎子さんを紹介するコーナーを作れないか」と奔走。市民が多数訪れる同図書館に打診したところ、館側が賛同。生徒らは寄付金を募るなどして資金を支援した。在住日本人らの協力で千羽鶴も作成。5月下旬にあった除幕式には約50人が出席した。

 雅弘さんはこれまで、米国の6施設に禎子さんが作った折り鶴を寄贈。残りわずかなため、今回は雅弘さん自作の鶴を贈ったが、アラスカ州にゆかりの施設ができるのは初めて。「アラスカと日本、心はつながっているという思いを込めて贈った連鶴がこうした動きにつながり感謝している」と話す。米国では原爆投下について賛否両論あるが、同館は西日本新聞の取材に「このコーナーには、過去に学び、平和や希望について考えようという力強いメッセージが込められている」と回答。二之湯さんは「一人でも多くの人に核兵器廃絶を願ってほしい」と話した。

=2018/06/21付 西日本新聞夕刊=

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