抑圧の下で劉暁波氏追悼 平和賞受賞者「獄中死」1年 中国、民主活動家らに警告 妻・劉霞さんは独の式典欠席

劉暁波氏の命日に行われた追悼フォーラムで黙とうを捧げる参加者=13日夜、福岡市中央区
劉暁波氏の命日に行われた追悼フォーラムで黙とうを捧げる参加者=13日夜、福岡市中央区
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 【北京・川原田健雄】中国の民主活動家でノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が事実上、獄中死してから13日で1年を迎えた。妻の劉霞さんは軟禁を解かれてドイツへ渡ったが、出国が認められなかった実弟の身を案じ、ベルリンの追悼式典への出席を見送り。中国当局は国内で民主化の機運が高まるのを警戒し、劉氏の親族などに圧力をかけて追悼活動を封じ込めた。

 複数の香港紙によると、ドイツ在住の中国出身作家、廖天〓氏は12日、劉霞さんとベルリンで面会。その後、記者団に劉霞さんが追悼式典に出席しないことを明らかにした。

 廖さんは劉霞さんの体調問題が欠席の理由ではないとした上で、「(劉霞さんは)まだ公然と行動したり、話したりすることができない」と指摘。中国に残してきた弟が事実上の「人質」となり、劉霞さんの言動が制限されているとの見方を示唆した。

 劉霞さんの弟は詐欺罪で実刑判決を受け、その後仮出所したが、刑期が満了していない状態とされる。ノルウェーのノーベル賞委員会は平和賞の賞状などの受け取りを劉霞さんに呼び掛けているが、廖さんは当面応じることは難しいとの見方を示した。

 中国当局は13日、劉氏の一周忌を機に、国内の民主化運動や人権問題が注目されるのを避けようと、民主活動家らへの締め付けを強化。香港の人権団体によると、遼寧省大連に住む劉暁波氏の親族は同日午前、自宅を訪れた公安関係者から公の場で追悼活動を行わないよう警告されたという。当局の圧力により中国本土では大規模な追悼集会は開かれなかったとみられる。

 それでもツイッター上には、劉氏の遺灰が海にまかれたことにちなんで「水辺に行って哀悼をささげ、自由のために闘う中国人を応援しよう」との呼び掛けが投稿された。

■福岡で劉氏の功績しのぶフォーラム

 劉暁波氏を追悼するフォーラム(実行委員会主催、西日本新聞社など後援)が13日、福岡市中央区で開かれた。約150人が黙とうをささげ、劉氏の功績をしのぶとともに、その遺志を受け継ぐことを誓った。

 劉氏と交流があった中央大の及川淳子准教授は、ノーベル平和賞受賞時に代読されたスピーチの一節「私には敵はいない」を紹介し、「自分を抑圧した中国共産党を敵とみなして批判せず、あえて『敵はいない』と語ることで言論の自由を訴え、憎しみを超越しようとした」と語った。

 また「劉暁波氏は決して政権転覆を目指したのではない。民間の側から中国社会を少しずつ変えていこうとしていた」と指摘。妻の劉霞さんのドイツ出国については「弟は一緒に出国できておらず、手放しでは喜べない。法的根拠もないまま、長い間不当に自宅軟禁されていたことを忘れてはならない」と述べた。

 作家・余傑氏執筆の「劉暁波伝」を邦訳した劉燕子氏は、もの悲しい調べに乗せて劉暁波氏と劉霞さんの詩を日本語と中国語で朗読した。福岡市博多区の男性(71)は「劉暁波氏は命を懸けて発言していた。アジアのためには中国の民主化が実現することが一番良いが、なかなか難しいとも感じた」と話した。

※〓は「王へん」に「其」

=2018/07/14付 西日本新聞朝刊=

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