タイ洞窟救出の4人は無国籍 移動の自由なく、国内に同情論も

 【バンコク浜田耕治】タイ北部の洞窟から救出された少年ら13人のうち、4人が無国籍だと分かり、波紋を広げている。移動の自由が制限されているため、海外のプロサッカーチームから届いた試合観戦の招待を受けることができない可能性もあり、政府の対応に注目が集まっている。

 地元メディアによると、無国籍は少年3人(13~16歳)と男性コーチ(25)。いずれも両親は山岳地帯の少数民族とみられ、タイで生まれた証拠が乏しいなどの理由から、国籍を取得できていないという。

 洞窟内で英国人潜水士に発見された際、流ちょうな英語で会話を交わしたアドゥン君(14)もその一人。ミャンマー北東部で生まれ、6歳の時に両親によってタイ北部チェンライ県の教会に預けられた。

 ミャンマー北東部は「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」と呼ばれ、麻薬生産の中核となっている地域。武装勢力とミャンマー国軍との対立もあり、アドゥン君の両親も武力紛争や不安定な生活から息子を守るためにタイの教会に頼ったとみられる。

 タイでは山岳地帯に住む少数民族を中心に無国籍者が多く、約48万人に上るとの統計もある。専門家は「より良い生活を求めて隣国から移り住んだり、タイでの出生を証明する書類がなかったりするケースが多く、国籍取得のハードルは高い」と話す。

 無国籍でも学校に通えるが、県外への移動は制限されている。少年たちはサッカーのイングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッドから英国での試合に招待されているが、パスポートがない4人は渡航困難な状況だ。

 タイ市民からは、世界中がその勇敢さをたたえた生還劇をきっかけに「国籍を与えてはどうか」と同情する声も上がる。ただ、内務省当局者は「(国籍付与は)通常の手続きに沿って行われるべきだ」としている。

=2018/07/18付 西日本新聞朝刊=

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