サムスン18兆円投資へ 4万人採用 文大統領要請受け

 【ソウル曽山茂志】韓国最大財閥のサムスングループは8日、2020年までの3年間で180兆ウォン(約18兆円)を人工知能(AI)、高速通信などの分野に新規投資し、約4万人を新規採用する、と発表した。取引先を含めた新たな雇用創出効果は「70万人規模に上る」としている。「政経癒着」を批判してきた文在寅(ムンジェイン)政権だが、厳しい経済環境を脱するため経営側に投資と雇用拡大を要請するなど、結局、サムスングループに頼った格好だ。

 投資の7割以上は韓国向け。同国内への投資額約130兆ウォンは、サムスングループとしては過去最高規模。主力の半導体のほか、AI、「第5世代(5G)」と呼ばれる新たな高速通信網、バイオ産業の成長分野の設備増強に集中的に投資する計画だ。投資拡大に伴い、従来3年間で2万~2万5千人規模だったグループ採用も約4万人に大幅に引き上げる。

 大盤振る舞いの計画の背景には文氏からの直接の要請があった。文氏は7月初め、インドのサムスン電子の携帯電話工場であった新棟開所式に出席。グループの事実上の経営トップ李在鎔(イジェヨン)・サムスン電子副会長に初めて面会して、韓国での投資・雇用拡大を直接要請した。

 李氏は、弾劾・逮捕された朴槿恵(パククネ)前大統領の親友に不正な資金を渡したとして一審、二審で有罪判決を受け、最高裁の判決を待つ被告の身。文政権にとっては「積弊(積み重なった弊害)」の象徴だが、雇用環境改善に向けて「財閥の協力が不可欠だ」と決断した。

 一方、サムスングループは、想定外の大規模投資で「経営トップの逮捕で失った国民の信頼を回復させる狙いがある」(聯合ニュース)とみられている。別の専門家は「政権が困った時に財閥に頼るという過去の誤ったパターンから脱していない」と批判する。

=2018/08/09付 西日本新聞朝刊=

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