カンボジア与党独占確定 総選挙

 【バンコク浜田耕治】カンボジアの選挙管理委員会は15日、7月29日実施の下院選(総選挙、定数125)の最終結果を発表。ロイター通信によるとフン・セン首相率いる人民党が全議席を独占した。人民党は2月の上院選でも全議席を占めており、一党独裁に国際社会の批判が高まりそうだ。

 最大野党の救国党は昨年11月に解党に追い込まれ、下院選は対抗勢力不在の中で強行された。20政党が参加したが、人民党以外の19政党は弱小で、批判票の受け皿にはなれなかった。無効票は8%台と前回選挙の1・6%を上回り、国民が抗議をした格好だ。

 救国党元党首らは投票ボイコットを呼び掛けたが、政権側は国民に強く投票を促した。暫定集計では投票率は83・02%で前回の69・61%を大幅に上回った。職場での不利益などを恐れた国民は投票に行かざるを得なかったとみられる。

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■制裁回避へ強権一時封印も 新潟国際情報大の山田裕史講師

 フン・セン首相率いる人民党が全議席独占したのはなぜか。最大野党・救国党を解党に追い込んだことが最大の要因だが、野党勢力が選挙参加の是非を巡り一枚岩でなかったことも大きい。昨年の地方選で救国党に投票した約300万人は選択肢を失い、無効票を投じるか、野党の小政党に分散するか、あるいは人民党に投票するしかなかった。

 注目すべきは、人民党が昨年の地方選から約135万票増やした点だ。カンボジアでは、野党支持者と見なされ日常生活や職場で不利益を被ることを避けるために人民党員になる人が多いが、今回の得票数は党員数の約83%に当たる過去最多となった。つまり、これまで救国党に流れていた人民党員が今回、自党に戻ったとみられる。フン・セン首相は毎週2、3回は縫製工場に足を運び、若い工員と対話し、最低賃金を大幅に引き上げた。救国党支持層の切り崩しに一定程度、成功したともいえる。

 フン・セン首相にとって、最重要課題の政権の維持が達成できたため、今後は国際的な批判をいかにかわすかが課題となる。例えば、拘束中のケム・ソカ救国党党首の保釈を認めたり、党幹部らの政治活動の禁止期間を短縮したりすることはあり得ると思う。人民党は1990年代から弾圧と懐柔を繰り返してきた。米国や欧州連合(EU)の制裁を回避するために、強権を一時封印する可能性は高い。

=2018/08/16付 西日本新聞朝刊=

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