中国、日印欧に接近 貿易摩擦激化、米に揺さぶり 歴史認識や領土、対日譲歩の気配なし

 【北京・川原田健雄】米中貿易摩擦の長期化が懸念される中、中国は米国以外の国々との関係強化に力を入れている。ロシア・ウラジオストクで13日まで開催された東方経済フォーラムでは、初参加した習近平国家主席がプーチン大統領や安倍晋三首相と相次いで会談し、協調姿勢をアピール。欧州やインドとも関係改善を図り、米国と対抗する“仲間”づくりに躍起になっている。

 「中日両国は保護主義ではなく、自由貿易体制を断固守らなければならない」

 12日の日中首脳会談で、習氏は安倍氏に呼び掛けた。念頭にあるのはトランプ米政権。トランプ氏は対日貿易赤字を問題視しており、貿易摩擦が今後、日本に飛び火する恐れもある。習氏の言葉には世界2、3位の経済規模を誇る日中が「反保護主義」を打ち出し、米国をけん制したい思惑がのぞいた。米国の同盟国である日本との関係を改善すれば、日米がそろって中国に圧力をかける事態は回避できるとの読みもある。

 習氏は11日にプーチン氏とも会談した。ロシア軍が極東などで実施した大規模軍事演習に中国軍を参加させ、軍事面でも「蜜月」を誇示。北朝鮮問題やアジア太平洋地域の安全保障問題を巡り、協力して米国に対抗する姿勢をにじませた。

 習指導部は2期目に入った昨秋以降、米国との関係強化に力を入れてきた。しかし、北朝鮮情勢や貿易問題を巡って米国とのあつれきが増すと、次善の策として他の国々との関係改善に乗り出すようになった。

 インドとは昨夏、国境で双方の軍がにらみ合ったが、4月に中印首脳会談を開催。その後、衝突回避策を強化することで合意した。7月には、獄中死した民主活動家、劉暁波氏の妻で長年軟禁状態にあった劉霞さんのドイツへの出国を許可。人権問題を重視する欧州諸国に配慮を示し、経済関係の強化を模索している。

 ただ、中国が最重視するのはあくまで対米関係。日本に対し歴史認識や領土問題で譲歩する気配はない。

 日本政府筋は「中国が日本や欧州に接近するのは米国を揺さぶるのが目的。安易に相手の懐に飛び込まず、出方を見極める必要がある」と指摘した。

=2018/09/14付 西日本新聞朝刊=

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