政治的少数派候補が急増 女性や理系出身者、LGBT 反トランプで加速

 6日投開票の米中間選挙は、女性や理系出身者など政治的マイノリティー(少数派)とされてきた候補の急増が特色の一つだ。多くは野党民主党に所属し、与党共和党を率いるトランプ大統領の少数派への蔑視発言や、科学的な常識を覆す環境政策などを批判している。米国では、連邦議会の8割を男性が占め、学歴も文系出身者に偏る。選挙戦は、文系出身の白人男性が政治を牛耳る状況に風穴があくのかという点でも注目を集めている。

 1日、南部ジョージア州。「黒人もアジア系もLGBT(性的少数者)もみんな平等。団結すれば変化を起こすことができる。歴史をつくろう」。次の大統領選出馬への待望論がある黒人の女性人気司会者オプラ・ウィンフリーさんが州知事選の民主党候補の応援に駆け付け、有権者に熱く呼び掛けた。

 伝統的に保守層が強い同州。民主党の黒人女性候補が勝てば、全米初の黒人女性知事誕生となり、共和党の白人男性候補との対決が全米で注目されている。

 米ラトガース大の「女性と政治センター」によると、今回の中間選挙に立候補した女性は過去最多の260人。民主は前回の1・5倍の200人に増えた。女性候補は従来、東部や西部の大都市部で目立っていたが、高学歴の女性が住む中西部の郊外や、保守層が多い南部も少なくない。

 両党とも候補は大半が白人だが、民主は黒人やヒスパニック、アジア系の女性が共和党より目立つ。中西部ミネソタ州では、イスラム系移民の民主女性候補の初当選が確実視される。同センターは「史上最多の女性が当選するのではないか」とみている。別の団体の調査によると、上下両院選にはLGBTも少なくとも10人以上、立候補しているという。

 女性など少数派候補が増えた最大の要因とされるのは、トランプ氏の存在だ。2016年の大統領選で、女性や移民などへの差別的言動が問題視されたにもかかわらず当選。性被害を訴える「#MeToo」(「私も」の意味)運動や、厳しい移民政策などが重なり、少数派の怒りや不安は増幅し、政治参加を後押しした。

 「反トランプ」の動きは、政治と縁遠かった自然科学分野の出身候補の増加という形でも顕著に表れた。トランプ氏の環境政策などには、科学者の間で強い危機感が広がっている。地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」から離脱を表明したり、発電所からの二酸化炭素(CO2)排出規制を緩和したりした政権への不信感は根強い。

 報道によると、現職の連邦議員のうち自然科学分野の経歴を持つのはわずか2人。科学者などの政治活動を指南する円周率の数字にちなんだ名称の団体「314アクション」には16年の大統領選後、政界進出に関する問い合わせが約7500件も殺到。中間選挙で支援する理系候補は、上下両院で20人に上る。

 トランプ氏の登場は、白人の文系男性が主導する既存政治への不信と絡み、政治的マイノリティーの政治参加という新風を吹かせた格好だ。 (ワシントン田中伸幸)

【ワードBOX】米上下両院の女性議員

 ラトガース大の「女性と政治センター」によると、前回の2016年上下両院選挙には、主要2政党から計182人(民主131人、共和51人)の女性候補が立候補した。現在、両院の女性議員は、定数535の約2割に当たる107人。うち民主が78人を占めている。

=2018/11/03付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]