中国当局、ウイグル拘束正当化に躍起 収容施設を合法化 入所者「感謝」の報道 国際批判回避狙う

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 【北京・川原田健雄】中国・新疆ウイグル自治区でウイグル族ら少数民族が大量に拘束されている問題で、中国当局は拘束を正当化する動きを強めている。自治区が制定した関連条例を改正して事実上の収容施設の法的根拠を明記したほか、ウイグル族の住民が「施設での学習を通じて自分の過ちに気付いた。政府に感謝している」と語る姿を国営メディアで放送。国際社会で高まる批判をかわそうと躍起になっている。

 自治区は2017年、イスラム教徒の特徴である長いひげの禁止などを定めた条例を施行。先月、この条例を改正し、自治区内の各地域政府が過激思想の影響を受けたとみなした人を教育するため「職業技能教育訓練センター」を設置できると規定した。センターでは中国語教育や職業訓練に加え「思想教育や心理・行動の矯正」に取り組むとしている。

 国営通信新華社は、自治区のショハラト・ザキル主席が訓練センターの設置について「テロや宗教的過激主義がはびこる土壌を取り除くことが目的だ」と語るインタビュー記事を配信した。主席によると、センターでは過激思想の影響を受けた住民のうち刑事責任を問う必要のない人を対象に、法律の知識や職業技能を無料で教えているという。施設の入所者とは合意文書を交わしているため、強制的な拘束ではないとの考えを示した。

 国営中央テレビは自治区南部のホータン市にある訓練センターを紹介。入所者のウイグル族住民が「ここに来なかったら過激分子と一緒に犯罪の道を歩んでいたかもしれない。悔い改めるチャンスをくれた共産党と政府に感謝している」と語る姿を報じた。

 毎日開催される中国外務省の定例記者会見でも「自治区では最近21カ月間、暴力テロ事件が起こっていない」(陸慷報道局長)などと、一連の政策の“効果”を繰り返し強調している。

 ウイグル族への統制を巡っては、国連の人種差別撤廃委員会が8月、「100万人以上がテロ対策名目で収容施設に拘束されている」とする人権団体の報告書を公表。米議会の超党派委員会も中国当局が新疆ウイグル自治区で「空前の弾圧」を行っていると指摘するなど非難が高まっている。

 大量拘束を正当化する中国の動きは、習近平指導部が国際社会の批判に神経をとがらせていることの裏返しとも言える。親族が拘束されている自治区出身のウイグル族の男性は「強制ではないなんて全くのうそだ。数カ月たった今も連絡が取れない。こんなひどいことはやめさせるよう世界が中国政府に働き掛けるべきだ」と訴えた。

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【ワードBOX】ウイグル族

 中国・新疆ウイグル自治区の人口約2400万人の半数近くを占める少数民族。イスラム教を信仰。1933年と44年に「独立」宣言したが、49年に中国軍が進駐し、55年に同自治区が成立した。90年代以降、独立運動が活発化し「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」などによるテロが頻発。2009年には区都ウルムチで大規模暴動が起き、漢族ら197人が死亡した。

=2018/11/04付 西日本新聞朝刊=

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