トランプ共和、下院敗北 上院維持、議会ねじれ 米中間選挙、政権運営厳しく

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領に対する初の国民的審判となる米中間選挙は6日投開票され、米メディアによると、連邦議会下院(定数435)で野党民主党が8年ぶりに過半数を奪還し、上院(定数100)は与党共和党が過半数を維持した。選挙結果を受けた来年1月からの新議会は、多数派が両院で異なる「ねじれ」状態となり、トランプ氏は厳しい政権運営を迫られる。再選をうかがう2020年の大統領選にも影を落としそうだ。

 下院で過半数を失った共和党は、予算編成などの主導権を失う。トランプ氏が公約するメキシコ国境への壁建設の実現が遠のくことや、16年大統領選のロシア疑惑などを巡って民主党から大統領の弾劾手続きに向けた動きが出る可能性もある。選挙戦で「米国第一」の公約を訴えたトランプ氏が、対日関係を含む外交や通商で成果を上げようと、さらなる強硬姿勢を取る恐れもありそうだ。

 トランプ氏は6日、上院の過半数維持を受けてツイッターで「とてつもない成功だ」と発信。民主党下院トップのペロシ院内総務は「チェック・アンド・バランス機能を取り戻す」と、トランプ氏をけん制した。

 今回の選挙は上院の35議席(現有議席は民主24、共和9、民主系無所属2)と下院の全議席が対象。全米50州のうち36州の知事選なども行われた。米メディアによると、投票者数は全米で前回を大きく上回った。トランプ氏の女性問題への反発も影響し、両院で女性議員が110人を超え過去最多となる見通し。

 選挙戦で民主党のオバマ前大統領らは排他的政策や過激な発言を繰り返すトランプ氏を批判。トランプ氏は各地で大規模な集会を開き、好調な経済や不法移民対策をアピールした。

 米メディアによると、7日午前11時(日本時間8日午前1時)現在の獲得議席数は、上院の改選35議席で民主党22(民主系無所属含む)、共和党9。非改選を含めると共和党が51、民主党45となる。ミシシッピ州(補選)は得票率50%を上回る候補がおらず、27日に再選挙をする。下院は民主党222、共和党199の議席を獲得している。

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 拒絶と共鳴 深まる分断

 【解説】米中間選挙は野党民主党が下院で過半数を奪還する一方、上院は与党共和党が過半数を維持した。リーダーとして国民を融和に導くどころか、あえて対立をあおるような政策や言動を連発し、選挙戦中も「口撃」を緩めなかったトランプ大統領。「ねじれ議会」の選挙結果は米社会の混迷を如実に表している。

 今回の選挙で共和党は下院で敗れはしたものの、上院では民主党の現職候補を相次ぎ破るなど巻き返した。2016年の大統領選後から続く、女性や若者、黒人、移民らが抱く「反トランプ」の怒りがうねりとなった半面、不支持が上回るとはいえ40%台前半の支持率を維持するトランプ氏に対する白人労働者を中心とした期待や共感の底堅さも浮き彫りにした。

 与野党双方が「勝利宣言」する結果について、政治学が専門の米スタンフォード大ブルース・ケイン教授は「両方の支持者の熱気が反映された。米国の深刻な分断を改めて明示したといえる」と分析する。

 「ねじれ議会」の下、トランプ氏と民主党との対立が激化するのは不可避だ。それは同時に、トランプ氏への支持、不支持で割れる米国民の相互不信や憎悪を一層、増幅させる危うさをはらむ。選挙戦中も民主党関係者や支持者に爆発物が送りつけられる事件や、両党の支持者同士が衝突する暴力事件などが頻発した。米社会の分断は修復の兆しすら見えず、「米国は内戦状態の一歩手前」と評する識者もいる。

 不寛容が覆う米国は世界を巻き込みながら混迷の色をさらに深め、2年後の次期大統領選へ突き進む。 (ワシントン田中伸幸)

=2018/11/08付 西日本新聞朝刊=

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