中朝韓“共闘”で米けん制 非核化、制裁緩和へ3首脳

 中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は8、9日、北京で首脳会談に臨んだ。約7年ぶりだった昨年3月の首脳会談から10カ月で4回目という異例の頻度で、非核化を巡る2回目の米朝首脳会談を前に中朝の結束を国際社会に示した格好だ。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領も10日の年頭記者会見で、北朝鮮の非核化措置に応じて対北朝鮮制裁の緩和などを米国側に求める考えを表明。中朝連合に韓国が加わってトランプ米大統領に譲歩を迫る構図が鮮明になってきた。

 「関係各国は北朝鮮の合理的な懸念に積極的に対応してほしい」。中朝それぞれの国営メディアによると、正恩氏は習氏との会談でこう訴えた。念頭にあるのは米国の強硬姿勢だ。

 昨年6月の初の米朝首脳会談で、正恩氏は「朝鮮半島の完全非核化」を約束。核関連施設の廃棄方針を打ち出してきたが、米国は「施設の全容が不明な上、非核化の動きを検証できない」と反発。米朝の交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥り、厳しい経済制裁は今も続いている。

 これに対し、習氏は会談で「非核化実現に積極的な役割を果たす」と、これまでの中朝首脳会談と同様の言い回しで中国の関与を強調。朝鮮中央通信によると、習氏はさらに、米朝交渉の「難関や憂慮」を説明する正恩氏に対し、北朝鮮の主張は「当然の要求」であり「全面的に同感だ」とも述べ、理解を示した。中国が北朝鮮問題で存在感を示すことで、貿易摩擦で対立する米国をけん制する狙いは明らかだ。

 北朝鮮は体制保証の一歩として、朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言の実現を目指しているが、米国は在韓米軍の駐留に影響が出るため否定的。米朝交渉の“仲介役”を自負する韓国の文氏は10日の記者会見で「在韓米軍は韓米同盟に基づくものであり、(北朝鮮の)非核化とは連動しない。正恩氏もそれはよく分かっている」と説明した。

 昨年末以降に正恩氏と親書を交換したことを明かした文氏は、難航する米朝交渉について「長い間に双方に不信感が積もり、それぞれ相手が先に動かなければならないと主張している」と解説。交渉を加速させるため、保有する核兵器や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄計画、核関連施設の申告など「より大胆な」対応を北朝鮮に求める一方で、2回目の米朝首脳会談は米国の具体的な譲歩も鍵になるとの見解も示した。

 文氏の心中には、米国の対北朝鮮制裁を早期に緩和させて、昨年末に着工式を行った南北の鉄道・道路連結工事と北朝鮮側の開城工業団地や金剛山観光を再開させたい思いがある。その意味で中朝の結束とは利害が一致する。文氏は会見で中国を「朝鮮半島の非核化や南北関係改善に非常に肯定的な役割を果たしてくれた」と持ち上げてみせた。 (ソウル曽山茂志、北京・川原田健雄)

=2019/01/11付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]