トランプ氏、壁建設へ非常事態宣言 予算捻出巡り強行策

 【ワシントン田中伸幸】トランプ米大統領は15日、メキシコとの国境の壁を増設するなど国境警備を強化するため国家非常事態を宣言すると発表した。トランプ氏は、連邦議会が14日可決した壁建設費を含む予算案に近く署名し、予算は成立して連邦政府機関の一部閉鎖の再発は回避されるが、予算にはトランプ氏が求めた壁建設費が少額しか計上されておらず、非常事態を宣言して議会が編成権を持つ予算配分の見直しなどで壁建設費を捻出する。

 トランプ氏は15日、記者会見し「国境を通って犯罪者や薬物が米国に流入しており、安全保障の危機にある」と強調した上で「壁は(犯罪防止に)100%機能する」と述べ、非常事態宣言の正当性を主張した。

 壁建設はトランプ氏の最重要公約の一つ。非常事態宣言は来年の大統領選再選をにらみ、不法移民の流入を嫌う保守層の支持をつなぎ留める狙いがある。一方、野党民主党は「宣言は違法で、言語道断の権力乱用だ」と非難。今後、政府を提訴するなど法廷闘争に発展する可能性がある。

 壁建設費を巡っては、トランプ氏と民主党の対立で昨年末から一部政府機関が過去最長の35日間にわたり閉鎖。支持率が下落したトランプ氏は1月末、今月15日までのつなぎ予算を成立させ政府機関閉鎖をいったん解消し、議会に建設費を盛り込んだ予算案作成を求めていた。

 しかし、超党派の予算案に計上された建設費は13億7500万ドル(約1520億円)とトランプ氏の要求の4分の1以下。トランプ氏は不満を示す一方、政府機関の閉鎖回避のため署名には前向きな姿勢を見せたことから、保守層から批判が上がっていた。トランプ氏は支持層の理解を得るため、建設費捻出策として非常事態宣言を選択。国防総省の予算を転用するなどして合計約80億ドルを確保する。

 ただ、通常はテロ発生時などに発動される非常事態宣言を、慢性的に続く不法移民問題に適用することには与党共和党内からも「非常事態とは言えない」などの批判が浮上。トランプ氏はかねて「壁建設費はメキシコが支払う」と主張してきたが、米国民の税金を充てることに「公約違反」の批判が強まる恐れもある。

=2019/02/16付 西日本新聞朝刊=

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