法王のセラピスト

 ローマ法王フランシスコ(80)が心理カウンセリングを受けたことがあると、最近フランスで出版されたインタビュー本で明かしたそうだ。カトリック専門ニュースサイト「カトリックカルチャー」によると、40代だった1970年代の約半年間、女性セラピストと毎週会った。「物事をクリアにする必要があった。人生に非常に役立った」という。

 そのころ彼は故国アルゼンチンにいた。クーデターや暴動、そして軍事政権による支配と、国が混乱した時期。信仰だけではどうしようもない精神状態に置かれたのかもしれない。権威の中枢にある人が自分のもろい部分をさらけ出すのは勇気のいることだと思う。

 セラピストは既にこの世にいないが、亡くなる前、法王に電話があったという。「彼女はユダヤ人だったので、宗教儀式を受けるためではなく、魂の対話のためだった。いい人だった」。インタビューで法王は男性と視点の異なる女性と話すことが重要だと強調しているという。バチカンという究極の男社会にいるからこそ痛感しているのだろう。 (井手)


=2017/09/12付 西日本新聞夕刊=

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