新聞オーナーの葛藤

 スティーブン・スピルバーグ監督の最新作「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」が米国で話題になっている。1971年、ベトナム戦争について調査分析した米国防総省の文書を入手したワシントン・ポスト紙。政府の圧力の中、報道の自由を貫いた社主キャサリン・グラハム氏と編集主幹ベン・ブラッドリー氏らを描く。グラハム氏役はメリル・ストリープが演じている。

 ワシントン勤務時代にグラハム氏と会ったという日本の新聞記者OBは「社交界の重鎮という感じで上品な貫禄があった」と話してくれた。ただ映画の中で彼女は、夫の死後に同紙の経営を引き継ぎ、会社運営で精いっぱい。能力的にも信頼を得られず、経営陣は政府の意に逆らって文書を報道することを反対する。しかも政府高官に多くの友人がいた。

 しかし自信のなさの奥底にあった正義感が彼女を突き動かす。「戦況が泥沼化していることを知らされず、若者たちが次々と戦場に送られるなんて」。輪転機の回りだす音が感動的だ。3月30日に全国で公開予定。 (井手)

=2018/02/13付 西日本新聞夕刊=

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