元J2福岡・19歳冨安がベルギーで奮闘中 全てが異世界…練習、試合、英語にビール

ベルギー1部、シントトロイデンの本拠地で取材に応じた冨安
ベルギー1部、シントトロイデンの本拠地で取材に応じた冨安
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昨年のPO決勝でプレーする冨安
昨年のPO決勝でプレーする冨安
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2月の大分との業務提携発表会見でスピーチをするシントトロイデンの立石CEO
2月の大分との業務提携発表会見でスピーチをするシントトロイデンの立石CEO
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 アビスパ福岡から1月にベルギー1部シントトロイデンへ完全移籍した元U-20(20歳以下)日本代表DF冨安健洋(19)が、このほど本紙のインタビューに応じた。2年後の東京五輪で期待がかかる若きストッパーは、初の海外挑戦で感じた日本とのギャップに触れながら、今後の進化を約束。また、移籍前のラストゲームとなった昨年12月のJ1昇格プレーオフ(PO)決勝での“秘話”も明かした。 (聞き手・構成=末継智章)

■昨年PO決勝実は骨折していた

 -1月に移籍し、3月下旬にトップチームの練習試合に初出場した。

 「昨季終盤から左足首が痛くて、シーズン後から治療に専念した。練習を始めたのは3月初めごろ。ようやくです」

 -昨年のPO決勝では名古屋のシモビッチ(現J2大宮)を封じた。

 「(左足首は)疲労骨折していました。名古屋戦前日のセットプレーの練習で元斗才とぶつかって、さらに痛めて。ツツさん(堤)には『ロングボールは蹴れませんので』と伝えていました。ただ、PO決勝は負けたけど楽しかった。その勢いのまま移籍したかったけど、仕方ないです」

 -移籍会見では「日本との違いを感じたい」と話した。

 「練習環境は確実に日本の方が良いですね。例えば日本では練習着やスパイクはスタッフが持ってきてくれるけど、こっちは自分で持ち運びする。アウェーの試合でも日本は(体調を考慮して)前日に移動するけど、ベルギーは国土が狭いこともあって当日移動が多い。日本が良すぎるのかもしれませんね」

 -シントトロイデンの本拠地は人工芝。これも福岡時代とは違う。

 「あまりやりづらさは感じません。むしろ天然芝の練習場の方が大変です。芝生(の根付き)が緩い上にボールが不規則に跳ねるんです」

 -移籍前の想像とは違う面もある。

 「日本にない環境を感じたかったので、もっと悪い環境でも良かった。悪いピッチに慣れれば、良いピッチでミスしませんから。悪いピッチの方が足腰も自然と強くなるし、こっちの選手は練習場でもしっかり止めて蹴ることができる」

 -日本の選手は技術の高さが評価されることが多い。

 「こっちの選手の方が、パススピードも全然速い。普通のパスがキラーパスだし、トラップもうまい。質の高いプレーの中での技術はこっちの方が高いのでは」

■いずれ戻るならアビ以外は想像できない

 -ベルギーはオランダ語とフランス語が公用語。会話はどうしている。

 「みんなほぼ英語を話せるので、英語を勉強中です。(シントトロイデンの経営権を持つ)DMMの英会話で(笑)。1回25分、オンラインで講師と話しています」

 -ベルギーはビールが名産で16歳から飲める。

 「興味ありません(笑)。20歳になったら飲んでみるかもしれませんけど」

 -東京五輪まで残り2年。外国人選手と勝負できる大型DFとして期待されている。

 「僕らの世代でもいいDFはいくらでもいます。立田(J1清水)は189センチで(188センチの)僕より大きい。(186センチの)板倉(J1仙台)も僕と同じくらいですし。ただ、守備はフィジカルが全てじゃなく、駆け引きも重要。僕は今この瞬間を頑張るタイプなので、五輪やW杯は意識していない。ここで結果を残すことに専念しています」

 -自分の将来像は。

 「将来的にどこでプレーするのかも、本当に考えていない。ただ、日本に戻ることがあったら、アビスパ以外のチームでプレーするイメージは湧きませんね」

 ◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年11月5日生まれ。福岡市出身。アビスパ福岡の下部組織に所属していた高校2年時の2015年にトップチームに2種登録され、翌16年に正式に昇格。Jリーグの通算成績はJ1が10試合出場で無得点、J2は35試合出場で1得点。昨年のU-20(20歳以下)ワールドカップで日本の16強入りに貢献。ベルギーリーグではデビューしておらず、控え中心のチームで実戦経験を積んでいる。188センチ、78キロ。

    ◇      ◇

■立石敬之シントトロイデンCEO 北九州市出身

 冨安が加入したシントトロイデンの最高経営責任者(CEO)は、北九州市出身の立石敬之氏(48)だ。大分トリニータではコーチや強化部長を歴任。2006年以降はFC東京でゼネラルマネジャーなどを務め、長友佑都(ガラタサライ)や武藤嘉紀(マインツ)、中島翔哉(ポルティモネンセ)らの海外挑戦を後押しした。

 ネット関連会社「DMM.com」にシントトロイデンの経営権取得を提案したのも立石氏。1月末にCEOとして自らベルギーへ渡った。「日本サッカー界が成長するため、日本人の監督やスタッフを欧州に連れてきたかった。(CEOとして)中に飛び込んだ」と、今後は積極的に日本人スタッフを招く考えだ。

 ベルギーは15年に国際サッカー連盟(FIFA)の世界ランクで1位になった。立石氏は若手育成に力を入れている点に着目する。国内リーグはドイツやスペイン、イングランドなどと比べると市場規模も実力も劣るが、総人件費のうち、23歳以下の選手の人件費が一定の割合を超えると所得税が最大で8割還付される。

 「どこも若い選手を積極的に育てて、ビッグクラブに売っている。自分たちの立ち位置をはっきりさせ、勝ち抜く方法を探っている」。冨安には「吉田麻也(サウサンプトン)の次に日本代表でDFの中心になるべき存在。ベルギーでも通用すると思うので、(シントトロイデンで)レギュラーを取ってほしい」と成長を期待した。

=2018/05/02付 西日本スポーツ=

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