西武V 稼頭央も舞った 「そんな代走させられるか」怒った辻監督の思い

10年ぶりのリーグ優勝を果たし、胴上げされる西武・松井
10年ぶりのリーグ優勝を果たし、胴上げされる西武・松井
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 ◆日本ハム4-1西武(30日・札幌ドーム)

 幸せだった。今季限りでユニホームを脱ぐ松井稼頭央が、辻監督に続いて宙に舞った。背番号と同じ7度。「胴上げされたのは(野球人生で)初めて。こういうふうにしてもらえるとは思っていなかったので…。最高です」。頼もしい後輩たちの手に身を委ねた。

 最強スイッチヒッターとしてグラウンドを縦横無尽に駆け回った往年の姿は、もうない。5月の福岡遠征では右膝を痛めた。しかも、試合ではなく左翼で受けたシートノックの最中だった。「そこ(足)だけは丈夫だと思っていたのに…」。日米通算465盗塁を支えた最大の「武器」が傷つき、ショックを受けた。2軍行きを申し出るか、悩んだ。「でも、辻監督は『時間をやる』と言って、治るのを待ってくださった」

 若返りが進む中、今季のスタメン出場はDHと左翼が2試合ずつと出番は限られた。試合展開とはあまり関係がない状況での代走を、という話も一部の首脳陣間で出た。「そんな代走を稼頭央にさせられるか」。怒ったのは辻監督だった。練習では一切手を抜かず、若手の相談に乗る姿をそばで見てきた。精神的支柱でもあった松井を顔見せ起用だけは絶対にしなかった。

 辻監督の思いを感じ取ったからこそ、ここ一番での代打や代走起用に応えられるよう、準備を重ねた。目の衰えを自覚し、プレー用の眼鏡も用意した。ホークスに逆転勝ちし、マジックを3にした9月27日。出場選手登録された松井は1点を追う8回に代走で登場した。劣勢だった球場のムードが一変すると、秋山の逆転3ランが飛び出した。

 数々の栄冠を手にした25年間の現役生活で足りないのは一つだけ。「西武での日本一」-。傷だらけの体にムチを打ち、気力を振り絞り、残された最後の夢に挑む。 (西口憲一)

=2018/10/01付 西日本スポーツ=

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