V戦士榎田「天国と地獄」発言の真意 CS直前…西武と阪神への思いを激白

練習の合間に笑顔でチームメートと会話する西武・榎田=15日
練習の合間に笑顔でチームメートと会話する西武・榎田=15日
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 開幕前に阪神から西武へ移籍しチーム10年ぶりのリーグ制覇に貢献した榎田大樹投手(32)が、17日から始まるソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを前に西日本スポーツのインタビューに応じた。0勝に終わった昨年の苦悩、新天地で自身初の2桁勝利を挙げた要因、両球団への思いなどを明かし、日本一への戦いに臨む決意を口にした。(聞き手・構成=松田達也)

-初めてのリーグ優勝。あらためて実感は

 最初は感じなかったけど、ビールかけをやったり、いろんな方に連絡をもらったりして、あらためて実感した。最近は年間通して結果を残すということができなかった。それを考えると、今年はある程度は貢献できたのかもしれない。

-プロ8年目で初の2桁勝利となる11勝4敗。好成績の要因は

 昨年は先発をやりたい思いが強すぎて中継ぎで結果が出なかった(登板3試合で0勝)。まずは根本的なことを見直そうと動作解析の先生を紹介してもらい、投げ方の理論を学び、足りない部分がはまった。(阪神での)2月のキャンプは半信半疑だった。先生たちに今年のボールはいいんじゃないか、と言われ、方向性は間違いないかなと思って続けた。

-具体的には

 体の使い方は大きく変わっていない。変わったのは意識。これまでは立って軸をつくって、頭が突っ込まないように投げろと言われていた。そこを意識していたが、逆に「突っ込みなさい」と言われた。立ったらそのまま右半身で目標に向かっていけと。そこから感覚が変わった。自分では体が突っ込むのがいけないと思って取り組んでいても、何かかみあわなかった。突っ込まないようにしようと思うと、体が一塁側に倒れたり、流れる。どうしたらいいかと思っていたら、その一言で解消できた。

-その後、3月に西武への移籍が決まった

 キャンプではもっと肘を下げていた。いろいろ取り組んでいたらトレードが決まった。阪神ではイメージするフォームで投げることがないまま終わってしまった。西武で最初の試合で投げたら、けっこういい感じだった。この形だな、これでやっていけるかな、と(いう感覚が)つかめた。

-阪神での先発は2014年が最後だったが、西武では最初から先発陣の一角として期待された

 先発か中継ぎか分からないより、はっきりしてもらったのはありがたかった。集中して準備できたのは大きかった。阪神では中継ぎか先発か分からない難しさがあった。ただ、それは自分がチャンスをもらった中で結果を残せなかったから。過去の自分が招いたことだった。西武では、まっさらな形で見てもらったのがよかった。

-先発で投げるイメージが自分の中にあったのか

 入団1年目(11年)の阪神は打線もよくて、久保田(智之)さん、球児(藤川)さんとすごい救援がそろっていた。阪神の入団会見では「ゲームをつくって粘り強く投げることが持ち味」と言った。そのスタイルが、今の西武でできている。阪神ではルーキーが中継ぎで1イニングをしっかり抑えると大きく報道される。それでも、自分はすごい投手じゃないと、ずっと思っていた。西武で、ようやく自分の本来の形を築くことができた。チームが変わり、8年たって、描いていた自分の投手像が体現できた。

-リーグ優勝会見では印象に残った試合として古巣の阪神戦(6月3日・メットライフドーム、7回3失点で勝利投手)を挙げた

 お立ち台で姿を見せられたのはうれしかった。ヒーローインタビューで阪神ファンから声援をもらえてありがたいというか、複雑だった。阪神では結果を出せず、トレードになった。確かに1、2年目の成績はよかったけど、チームが勝たないと評価されない世界。応援していただいた方に申し訳ない思いが強い。

-会見では「天国と地獄」という言葉もあった

 昨年の自分に比べたら、という意味だった。昨年は3試合しか投げていない。そんなプロ野球選手なんて地獄。9月後半まで1軍にいて登録を抹消され、戦力外だと覚悟した。そのころの自分を考えると、今年は優勝して、会見にも呼ばれたのは天国。昨年は、この先も野球できるか、次にどんな仕事をしようか、と家族と話していた。今年はマジックがついて、優勝しちゃうかもね、なんて話していた。家での会話の内容も明るくなった。

-もし戦力外通告を受けていたら

 いろんな経験をしようと思って、アメリカの独立リーグで野球をやっている知人がいて、そこに行くことも頭の片隅にあった。教員免許も持っているし、高校の監督をやりたいとも思っていた。現役をやめざるを得ない環境になるかもしれないと、すごくいろいろ考えた時期だった。

-17日から自身初登板となるCSが始まる

 短期決戦は1点の重みが違う。ゼロで抑えたい気持ちもあるが、頭でっかちになりすぎず、最少失点でいいというバランスを保って投げたい。野手を信頼して我慢強く投げることが大事。これまでの野球人生でポストシーズンは経験できなかった。最後まで野球をやって、最後に笑って終えるのは幸せ。そこに立つ喜び、ありがたみを感じてやりたい。雄星(菊池)が「1番じゃないと面白くない」と言っていた。優勝してそれを実感した。日本一のチャンスがあるから、そこを目指してやっていきたい。

-激動の1年だった

 今季はずっと、任されていることが幸せだった。充実したシーズンを過ごさせてもらった。これまでの悔しさもあるけど、ありがたさの方が大きい。自分のような境遇の選手を見て、一生懸命やっても2軍でくすぶったり、結果を出しても1軍に上がれないような選手が励みに感じてもらえればうれしい。こうやってトレードを経て、ありがたい立場になった。西武にも阪神にも、本当に感謝している。

 ◆榎田大樹(えのきだ・だいき)1986年8月7日生まれ、鹿児島県出身。宮崎・小林西高、福岡大、東京ガスからドラフト1位で2011年に阪神入団。1年目から救援で62試合に登板、13年と14年の序盤は先発で起用された。今年の開幕直前に岡本洋介との交換トレードで西武に加入、移籍1年目は23試合(先発22、救援1)で11勝4敗、防御率3.32だった。通算成績は219試合で24勝21敗3セーブ、防御率3.73。左投げ左打ち。181センチ、89キロ。背番号30。

=2018/10/16 西日本スポーツ=

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