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2012年10月27日 14:20
 熊本県阿蘇市の内牧温泉-。ランナーたちが澄んだ空気の中を走る。第61回九州一周駅伝グランツール九州2012に向け、福岡県チームはここで10月9日から13日まで合宿をした。九州北部豪雨で大きな被害に遭ったところだ。総監督の森下広一(45)=トヨタ自動車九州=は「水害で落ち込んでいるまちを元気づけたかった」と明かす。

 内牧温泉は阿蘇山の麓にある古くからの温泉地。阿蘇五岳と広がる田園地帯の雄大な自然を望むことができ、アテネ五輪女子マラソンの金メダリスト野口みずきも訪れるなどランナーの合宿地として人気がある。温泉で疲れも癒やせる。森下も旭化成(宮崎県)の選手時代に何度も訪れ走り込んだ愛着ある地だ。森下はここで30キロ走や1キロ10本のスピード走などのメニューを選手に課した。

 投宿先の旅館「金時」は、1階にある温泉施設が土砂で埋まり、休業に追い込まれた。おかみの湛ヨツ子さん(70)は「合宿に来てくれる選手たちのために早く復旧せんとと、一生懸命、朝から晩まで土砂をかき出すなどしました」と話す。

 ランナーが駆ける風景が戻ってきた内牧温泉から南西へ約25キロ。熊本県西原村の出身選手が2人いる。福山真魚(まお)(24)=九電工=と園田隼(23)=黒崎播磨=だ。

 阿蘇の大自然で育ち、脚力を鍛えた。村に大きな被害はなかったが、同じ阿蘇地方の至る所に水が押し寄せる様子をテレビで見て胸を痛めたという。2学年違うが、同じ村の幼稚園、小学校(山西小)、中学校(西原中)に通った。高校(熊本国府高=熊本市)、大学(上武大=群馬県伊勢崎市)も同じ2人。福山は2回目、園田は初めてとなる九州一周駅伝。「僕が活躍することが、ささやかだけど励みになれば」(福山)。「まだ未熟だけど、全力の走りを見て元気になってもらえたら」(園田)。合宿先の旅館「金時」でそろって決意を語った。

 チーム最年長で最多12回目の出場となる小畑昌之(32)=安川電機=は大分県中津市本耶馬渓町の出身。7月の豪雨直後に帰省したときには、いつも立ち寄るドライブインは泥だらけで自動販売機が投げ倒され、草木が散乱していた。「信じられない」と思わず息をのんだ。山国川沿いの両親の勤め先も浸水するなどし、一時仕事ができなかったという。

 それまでなかなか疲れがとれず不調が続いた小畑だが、豪雨禍から立ち上がろうと片付けなどに励む故郷の人々の姿に「逆に自分が力をもらった」という。「大変な状況の地元を自分の走りで力づけたい」という思いは日に日に増している。

 「今のところしっかり走れている」。合宿で確かな手応えを得た小畑。「今度は自分が励ます番だ」。力走を誓った。

    ×      ×

 ▼小畑昌之選手 安川電機
 ▼福山真魚選手 九電工
 ▼立石慎士選手 安川電機
 ▼平野護選手 安川電機
 ▼久保田大貴選手 安川電機
 ▼井手上隼人選手 トヨタ自動車九州
 ▼小西祐也選手 トヨタ自動車九州
 ▼鴛海辰矢選手 西鉄
 ▼渡辺竜二選手 トヨタ自動車九州
 ▼押川裕貴選手 トヨタ自動車九州
 ▼種子野輝夫選手 安川電機
 ▼河野健一選手 黒崎播磨
 ▼加藤泰智選手 トヨタ自動車九州
 ▼金子幸司選手 黒崎播磨



=2012/10/27付 西日本新聞朝刊=

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