地震越え、夢へ突き進む 鎮西高、県内外の道場転々

折尾愛真(福岡)との試合に臨む鎮西の選手たち=27日午後、福岡市博多区のマリンメッセ福岡
折尾愛真(福岡)との試合に臨む鎮西の選手たち=27日午後、福岡市博多区のマリンメッセ福岡
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 玉竜旗高校剣道大会の男子が開かれているマリンメッセ福岡(福岡市博多区)に、シード校の強豪、鎮西(熊本)の力強い掛け声が響いた。4月の熊本地震で剣道場が使えなくなり、県内外の道場を転々とした選手たち。苦境の中でも、剣道に懸ける思いを絶やすことはなかった。剣道ができる喜びと感謝を胸に、試合場に立った。

 玉竜旗の男子が開幕した27日。第10試合場に鎮西の選手たちが並んだ。初戦となる2回戦に集中力を研ぎ澄ませる中、大将の松崎貴志選手(3年)は「支えてくれる皆さんへの感謝を忘れずに」と誓い、竹刀を握った。

 熊本市中央区の校舎は地震の被害を受け、剣道場がある体育館も損壊。今も立ち入り禁止のままだ。4月14日の前震以降は休校となり、部活も休部状態に。松崎選手は「とにかく練習がしたかった」と振り返る。

 5月6日に学校が再開。部員もようやく集まって練習ができるようになった。再開後、初練習の場所は同市北区の剣道場。約3週間練習ができず、うずうずしていた36人の剣士の気合あふれる掛け声は、何かの騒ぎと勘違いされてパトカーが駆け付けるほどだった。

 今も吉里泰彦監督ら4人の指導者が、授業の合間や練習帰りの車内であちこちに電話し、稽古場の確保に苦心する日々を送る。主な練習場となった熊本県合志市の県立ひのくに高等支援学校の道場は、大型バスで片道1時間かかる。福岡県の福岡第一や筑紫台、宮崎県の高千穂や鵬翔など、県外の強豪校にも足を運び、練習時間を確保してきた。

 松崎選手は「地震以降、当たり前にできていたことができなくなった。お世話になった先生や保護者に剣道で恩返しがしたい」と玉竜旗に臨む。

 試合は福岡の強豪、折尾愛真と激戦になった。終盤までリードを許すも、松崎選手が3人を抜いて逆転勝ち。観覧席の保護者ら約50人から惜しみない拍手が湧いたが、吉里監督には満足できない内容だった。「皆さんの支えを台無しにするな」。試合後、選手たちに活を入れた。

=2016/07/28付 西日本新聞朝刊=

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