ヤフオクDで毒ガステロ事件が起きたら…初の対策訓練 専門部隊も投入

有毒ガスで負傷した観客を運び出す訓練の様子
有毒ガスで負傷した観客を運び出す訓練の様子
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テロを想定した訓練中、電光掲示板に表示された案内
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 福岡市中央区のヤフオクドームで26日、有毒ガスによるテロ発生を想定した訓練が行われた。

 1993年の開業以来、同球場でテロを想定した訓練が行われるのは初めて。同球場を本拠地とするプロ野球ソフトバンク球団の職員ら球場関係者が約70人、福岡県警から約40人、福岡市消防局から約70人の計約180人が参加し、連携を確認した。

 実際に警察のNBC(核・生物・化学)テロ対策隊や、消防の特殊災害対応車も駆けつけ、午前10時半から約1時間の実施。プロ野球の試合開催中のヤフオクドーム三塁側内野席で、液体の入ったペットボトルから有毒なガスが発生。気分が悪くなった観客が多数出たという想定で訓練は進められた。

 スタンドで行われた訓練に参加した球団職員の中には、ホークスで活躍した永井智浩氏、星野順治氏、飯島一彦氏ら元プロ野球選手の姿もあった。

 有毒ガスに見立てた白いスモークがたかれると、すぐさま球場スタッフが付近の観客の避難誘導を開始。場内アナウンスで「発生した異臭の原因を調査中、試合を中断しています」と説明後、「ハンカチなどで鼻と口を押さえ、係員の指示に従って避難してください」と呼び掛けた。大型電光掲示板でも同様の内容を知らせた。

 ヤフオクドームは野球開催時、3万8530人(今季)を収容する。訓練では緊急度の高いエリアから、順を追ってスタンド全体の避難誘導を進める流れを確認した。有毒ガスの被害者は30人で、うち自力で歩けない5人がスタンドに残った想定。ここで球場関係者による初期対応から、通報を受けた警察と消防の訓練に移行した。

 三塁側内野席からコンコースを通って外に出たところにある、球場5番ゲート前の広場に合同の「現場指揮所」が設けられた。救助隊は防護服を着用。自力で歩ける被害者に対しては、球場出口で有毒物質の検知を行い、除染を行うテントへ誘導した。スタンドで動けなくなっていた被害者を担架で運び出した後で、有毒ガスの発生源とみられるペットボトルを回収。一帯の除染を行い、訓練は終了した。

 福岡市では来年6月に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。9、10月に日本で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の会場の一つともなっている事情があり、プロ野球シーズンオフの期間を利用し、今回の訓練が行われる運びとなった。

 テロを想定した訓練はヤフオクドーム側でも、開業間もない1995年に東京都内で地下鉄サリン事件が発生して以来、課題と認識していたという。来季は野球開催時の定員を4万人まで拡大予定。コンサートでの動員は5万人にもなる施設だけに、まだ多くの課題が残るものの、ソフトバンク球団は「これが一つのモデルになる」と一つの指針にする考えだ。

 なおヤフオクドームでは野球開催時、ソフトバンク球団職員ら球場関係者の計約240人からなる自衛消防組織を設置し、防災に取り組んでいる。来場者には入場時に所持品検査を実施。防犯カメラの台数は非公表ながら、広い範囲をカバーするため200に迫るとみられ、複数のモニター室で不審者や不審物がないか注視している。現状では入場ゲートに金属探知機を置く予定はないものの、今後、チェック態勢を強化していく方向だという。

=2018/11/26 西日本スポーツ=

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