64人の野球で優勝目指す 九州学院、センバツへの軌跡

西日本新聞

子園に向けて気合いを入れる九州学院ナイン 拡大

子園に向けて気合いを入れる九州学院ナイン

 甲子園球場(兵庫県西宮市)で21日に開幕する第87回選抜高校野球大会に、九州学院(熊本市中央区)が出場する。センバツ出場は3年ぶり6回目。全国屈指の攻撃力と堅守で、活躍が期待されるチームの軌跡を紹介する。

 昨秋の熊本大会と九州大会を制し、全国の強豪校が集まる明治神宮大会で4強入りした野球部は、計64人の部員を擁す。激しい競争の中、レギュラーの座を手に入れた9人の選手は、選手交代することなく全試合を戦い抜いた。

 センバツ出場決定後も、9人は病気やけがをすることなく好調を維持。今月8日の福岡大大濠(福岡市)との練習試合では、持ち前の粘り強さを発揮し、逆転勝ちした。チームは今、勢いに乗っている。

 「戦っているのは9人だけじゃない。試合に出ていない部員とともに喜び合えるよう、全力でプレーしたい」。中原力也主将(新3年)は、こう話すとバットをぐっと握り直した。

 「でも、みんなの心が一つになったのは熊本大会の約1カ月前、昨夏のある出来事がきっかけでした」と打ち明ける。

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 「好きにすればいい」

 坂井宏安監督(57)は練習メニューを確認に来た上村耕司マネジャー(新3年)に言い放った。坂井監督は、レギュラーと他の部員の間に見えない壁が生まれ、野球部がばらばらになっているのを見抜いていた。

 「俺たちレギュラーは練習で大変なんだ」「他の部員はどうせ試合には出られないんだ」-。それぞれの気持ちが全体の空気を悪くしていた。

 3日間、監督不在の練習が続いた。危機感を持った中原主将は全部員をグラウンドに集め、「みんなの気持ちが分からない。思っていることを言ってほしい」と問い掛けた。沈黙の後、試合に出ていない部員が口を開いた。「レギュラーは練習だけして道具を片付けない。俺たちの役割だと思っている」

 不満の声に中原主将ははっとした。「自分のことばかり考えていては、チームワークは生まれない」。翌日からレギュラーも片付けに加わった。見違えるように部員同士の声掛けも増え、熊本大会直前に野球部はまとまった。

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 福岡大大濠との練習試合には、九州学院で初の甲子園出場を果たした野球部OBの緒方徹さん(67)の姿があった。野球部で監督と部長を計約25年務めた緒方さんは「本当にいいチームができた」と目を細める。

 2点を追う三回表、5番柳内一輝選手(新3年)の2ランと、6番若原笙弥選手(新3年)が放ったソロの連続ホームランで逆転。「ナイスバッティング。どこからでも打線がつながっている」と満足そうな表情を見せた。

 関係者や野球ファンが寄せる期待に「64人の部員全員で、センバツ優勝を目指します」と、気合十分の中原主将。チームは16日朝、熊本を出発する。春の甲子園球場で「九学旋風」を巻き起こしてほしい。 

=2015/03/15付 西日本新聞朝刊=

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