芝居目覚めた 伝統ある明治座で初の舞台好評御礼
●月イチ活動報告
5thシングル「12秒」がオリコン週間シングルチャートで首位を獲得し、デビューから5作連続1位という偉業を成し遂げたHKT48。オーディションにより選抜された16人が東京の明治座で行った「HKT48 指原莉乃座長公演」(4月8~23日)も大好評のうちに千秋楽となり、メンバーはさらなる成長の時を迎えている。伝統ある劇場で、グループの新たな可能性を示した舞台。今田美奈(18)、植木南央(17)、熊沢世莉奈(18)、坂口理子(20)に15回にわたった公演を振り返ってもらった。 (古川泰裕)
-1部がお芝居、2部がショーの明治座公演、お疲れさまでした。皆さんの役どころは
今田「(阿国一座の)幹部でした。阿国ちゃんが1番人気なんですけど、それを支えるリーダー的存在がはるっぴ(兒玉遥)と私。で、りーぬ(熊沢)となお(植木)が(一座の)研究生の役」
植木「さっしー(キヌタ)が人間に化け(矢吹)奈子が演じるおはぎと、オーディションを受けに来るんですよ。その時、研究生の私とりーぬ、ダンスリーダーの(本村)碧唯の3人でオーディションに参加するシーンがあったんですけど、笑えるところもあって」
坂口「最後の方はアドリブもすごかったですよね」
植木「そう。さっしーもけっこうアドリブ入れるし、私たちも毎回ポーズを変えたりしてたので、ファンの人からも、大好きなシーンだって言ってもらえました」
-研究生か…
植木「そうなんです。共演者の方に『本当に研究生なんですよね?』って言われて少し複雑だったんですけど、プラスに考えて頑張りました」
今田「女優魂(笑)」
坂口「ポジティブ(笑)」
-坂口さんは、たぬきさん
坂口「おネギちゃんです。『ネギで~す』って愛嬌(あいきょう)を振りまき、男の人を陥れ、財布をかっさらうっていう役でした。おみそっていう妹がいて、しげさん(村重杏奈)が演じてたんですけど、2人のお母さんは、人間のわなにはまって殺されちゃったんです。で、たぬき一族の親分に拾われて親分をすごく慕ってるんです。途中、キヌタを責めるシーンがあって、なかなか先輩にそういうセリフを言うことがないから、変な気持ちでした」
-初めての舞台、初めてのお芝居はどうでしたか
今田「(阿国一座が)稽古をしてるシーンで、男役をやる場面があったんです。かつらかぶって、さらし巻いて、着物着て、ちゃんと声も低くして頑張りました」
植木「ファンの人のかけ声も、いつものライブ通りじゃなくて『大当たり』とかで。何回も来てる方は次第に慣れてきてたりしてて、そういう楽しみもあったんじゃないかなって思います」
今田「新鮮でした」
坂口「『超絶かわいい』とかじゃなくて『いよっ!!』みたいな」
植木「『待ってました!!』とか」
今田「和風だったよね」
-伝統ある舞台
植木「私ちょうど半年前くらいに、プライベートで明治座に舞台を見に来てたんですよ。まさか自分がそこに立つなんて…。最初はふわふわしてたけど、回数を重ねて工夫したりして。貴重な経験だったと思います」
-演劇に興味は
今田「私は興味なかったし、ミュージカルも見たことなくて。見たこともないくせに、舞台に上がってお客さんに演技を見せるのが心配だったんです。稽古でも距離感とか空気感とかつかめなくて不安だったんですけど、実際に明治座に入って、『あっ、このぐらいの声量なら響くんだな』って分かってきて。勇気を出してやってよかったって思いました」
-熊沢さんはどうでしたか
熊沢「私は期間中に誕生日を迎えたので、それが一番思い出に残ってます。ちょっとだけ、舞台の上でお祝いしてもらいました。一生の思い出です」
-今田さんと熊沢さんは、チャンスをつかんでいかがでしたか
今田「オーディションは手応えはちょっとあったけど、受かってうれしかったです。アイドルが舞台で、しかも歌舞伎みたいなことをやって、その中に自分がいたことがすごくうれしいです」
熊沢「私は舞台とかミュージカルを見るのがすごく好きで、恥ずかしがり屋で演技は苦手なんですけど、絶対チャンスをつかみ取りたかったから、全力でやりました」
-今田さんの演技が好評だった
今田「尾崎さん(劇場支配人)から言われました。『好評だったよー』って。自分の可能性が広がったなって思ったので、芝居が好きになりました。長ぜりふにも挑戦したい」
坂口「(今田は)男役が、ばっちり決まってました。何回見ても威圧を感じるといいますか(笑)」
今田「みんなキャラに合った役だったので、見やすかったです。あと、1部の芝居の時にちょっとだけ曲が流れて、『会いたかった』を和風にした『会いたかった音頭』とか踊ったりするんですけど、そのダンスをラッキィ池田さんが振り付けてくださったんですよ。コミカルでかわいい振り付けでした」
-1カ月東京で公演
熊沢「私はずっと(HKT48)劇場で公演をやってたから、約1カ月東京で劇場公演以外のお仕事ができるのがうれしくて。オーディションに受かったときは、お母さんと赤飯を食べました」
坂口「かわいい」
今田「どうやって報告したの?」
熊沢「電話した。すぐに言いたくて。『ママ、受かったよ!』って」
今田「私は台本もらった日に、東京から帰ってきて台本を見せて『じゃーん!』って。盛り上がりました(笑)」
熊沢「初日にぱるるさん(島崎遥香・AKB48)が見に来てくださったんですけど、後でさっしーに、ぱるるさんが私のダンスをすごい褒めてくれてたって聞いて、すごくうれしくて、泣いちゃいました」
-ぜひ、地元の博多座とかでもやってほしい
熊沢「はい、いつかできれば」
◆HKT48 指原莉乃座長公演あらすじ
豊臣秀吉が天下統一を成し遂げ、太閤として君臨する時代。京都では、博多からやってきた娘歌舞伎「博多の阿国一座」が、芝居小屋を立てていた。その人気っぷりは、まさに現在の女性アイドルグループ並み。一座の花形「阿国(宮脇咲良)」に憧れを抱くたぬき一族のキヌタ(指原莉乃)は、妹分のおはぎ(矢吹奈子)を連れて、阿国の芝居に見入っていた。
一方、キヌタたちの仲間は、極道たぬ蔵一家の親分・たぬ蔵(岡森諦)のため、資金の荒稼ぎ中。若い娘に化けて色香を使い、若い男たちから金を巻き上げていた。芝居小屋から帰ってきたキヌタに、仲間は「この大事なときに」と詰め寄るが、反発されたキヌタは、一家の元を飛び出してしまう。
キヌタと、彼女を追ったおはぎ、用心棒のポン太(酒井敏也)は、憧れの阿国一座にもぐり込もうとオーディションを受けるが、たぬきであることを見破られてしまう。おはぎとポン太を守って捕まったキヌタは阿国に救われるが、阿国が太閤秀吉に見初められ、お側女(そばめ)になることを約束させられていたことを知る。大好きな阿国を救うため奔走するキヌタに、仲間のたぬきたちも、次第に協力するようになっていく。
=2015/05/12付 西日本スポーツ=