九学、最後まで粘り 初戦で遊学館に敗れる

西日本新聞

 今春の「忘れ物」という甲子園での1勝はつかめなかったが、選手全員が全力でプレーした。「ありがとう」-。第97回全国高校野球選手権大会で、県代表の九州学院は12日、初戦の2回戦で遊学館(石川)に3-5で敗れた。先制、そして最後の粘り。大粒の涙をこぼすナインに、アルプス席から、古里から、惜しみない拍手が送られた。

 4万7千人の大観衆で埋まった甲子園球場にテンポの良い「K・Y・U・G・AKU!」の声援が響く。えんじ色のチームカラーで染まった三塁側アルプス席。試合開始前、熊本大会でチームトップの打率を誇る長谷川大将(だいすけ)中堅手(3年)の父哲郎さん(48)は「選手全員、思いっきりバットを振ってほしい」と打線に期待を寄せた。

 二回表、早くも選手たちが躍動する。2死二塁の好機で、打席には今春の甲子園で4番を務めた松下且興(かつき)右翼手(2年)。振り抜いた打球は、左中間を抜ける適時二塁打に。

 「ウオー!」。欲しかった先制点を奪い、抱き合ったり、ガッツポーズをしたりと大興奮の応援団。勢いに乗り伊勢大夢(ひろむ)投手(3年)がタイムリーで続く。単身赴任先のベトナムから駆け付けた伊勢投手の父強三さん(47)は「1本出てほっとした。投げる方もしっかり」と力を送った。

 しかし三回裏に相手打線の逆襲で3失点。アルプス席は一瞬静まるが「アウト、取るぞ」「どっしり構えろー」。どこからともなく声が上がると、応援団は息を吹き返した。野球部員の水田昇平さん(1年)は「落ち着いて取り戻そう」と、逆転を信じて疑わない。

 四回裏にも相手に2点を奪われ、3点のリードを許す展開。1年生4番の村上宗隆一塁手の弟慶太君(10)は「お兄ちゃん、大きい当たりで流れを変えて」と必死の表情で叫んだ。

 九回表。「かっせー九学」と、決して諦めないアルプス席の声援を受けた先頭打者の柳内一輝遊撃手(3年)が、安打と失策で二塁に進塁したのを足掛かりに、1点をもぎ取った。沸き立つ応援団は「あと2点」「あと2点」の大合唱でナインを鼓舞。しかし、あと一歩届かなかった。

 アルプス席前に整列したナインに柳内選手の母英子さん(45)は「今までの成果を精いっぱい出せた。いい仲間に恵まれた」と目を潤ませた。

 春のセンバツに続く初戦敗退。その悔しさは選手も応援団も変わらない。ただ、2度の大舞台で選手たちは大きく成長した。「よく頑張ったー」。たたえる声がいつまでも続いた。

=2015/08/13付 西日本新聞朝刊=

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