日本一ソフトB、内川独占手記 CS3戦連続V打でMVPも骨折発覚…松田の思いに涙

西日本スポーツ

 連続日本一を達成した福岡ソフトバンクの内川聖一外野手(33)が本紙に手記を寄せた。MVPに選ばれたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで左肋骨(ろっこつ)を骨折。主将として初めての日本シリーズ出場はかなわなかったが、最後は笑顔で歓喜の輪に加わった。無念の思い、支えてくれた仲間への思い。素直な言葉で胸の内を明かした。

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 まさか、こんな形で日本一の瞬間を迎えるとは、思いもしなかった。プレー中の負傷とはいえ、その後は試合に出続けていたのだから、普段の生活でも細心の注意を払うべきだった。本当に反省しています。

 正直、悔しい。骨折と分かったときは「マジかよ。何でこんな大事なときに」と自分に怒りが込み上げてきた。日本一をかけた戦いが始まるときに離れなければならない。こんなに情けないことはない。同時に、仲間に申し訳ない思いで胸が張り裂けそうだった。

 骨折でも試合に出てやろうとしか思っていなかった。二次的な故障、最悪、命にかかわるケガにつながるかもしれないけど、それより大事なものがあると思っていた。日本一の座を明け渡さないという思いで戦ってきたから。でも監督と話をして、断念した。

 だから、せめてチームを離れる際にみんなの前で話をさせてほしいとマネジャーにお願いした。さあ戦うぞ、というときに湿っぽい話をするのもどうかと思ったけど、何も言わずに離れるのは許されないと思ったから。思っていること、感じていることを伝えた。

 第1戦に勝って、マッチ(松田)がお立ち台で僕の打撃グローブを掲げてくれた。うれしくて、テレビの前で泣いてしまった。マッチもケガでチームを離れることが多かった。やっぱり離脱した人の本当の気持ちは離脱した人じゃないと分からない。僕の気持ちを理解してくれたのかな。

 テレビでの応援に寂しさも感じていたけど、みんなが「内川のために」と言ってくれていることを報道で知って、中途半端な気持ちで見てはダメだと思った。離れてみて、このチームはみんながやるべきことをやっているとあらためて気付かされた。そんなレベルが高い中で野球をやれていることに感謝したい。

 気になる選手にはメールなどで連絡をした。特に若い選手。千賀も森も、ピンチで打たれることはあったけど、森は「ヤクルト、ウチさんより打ちますよ」と普通に返信してきたりして。それを見て、コイツ大丈夫だなと思ったり。離れていても普段と変わらず接してくれることが、自分にとってはありがたかった。

 主将を任されたこの一年、自分なりに頑張ったけど責任を果たせたとは到底思えない。結果が出ず打席に入ることが怖かったり、チャンスで回ってくるのが嫌だったり。結果が出ないことは自分で処理すればいいけど、チームに迷惑を掛けているというのがずっと自分の中にあって、それを取り返したい一心だった。

 シーズン中、小久保(裕紀日本代表監督)さんに言われた言葉が忘れられない。「何か新しいものを背負ったり、新しい役割を任されたとき、すんなりやれる人はそこまでだ。そこでもがいたり苦しんだりしたのなら、おまえはまだ成長できる」と。俺ってダメだなって思っていた時期なのですごく救われた。感謝してもしきれない思いだ。

 ホークスの主将は秋山(幸二前監督)さん、小久保さんが務めてこられた。だから何をするにも完璧じゃなければと思い、勝手に自分を苦しめてしまった。でも、完璧じゃなくてもできることがあるというか、そこからみんなに教えてもらうこともあった。そういう立ち位置の方がいいのかなとも思う。今はまだ、何が正解かは分からない。

 胴上げに行くことはないと思っていた。シリーズを戦ったみんなが喜びを分かち合う場だから、いてはいけないと。でも監督、コーチ、選手が来いと言ってくれていると聞き、頑張ってきてよかった、幸せだなと思った。今以上にみんなに信頼してもらえる主将を目指して、精進したい。一年間、熱い声援をありがとうございました。 (福岡ソフトバンク外野手)

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