「頑張る姿」届けたい 支援者への恩返し 金鷲旗出場の阿蘇中央高

西日本新聞

 頑張る姿で、恩返しを-。21日に開幕した金鷲旗高校柔道大会には熊本地震の被災地からも参加する。阿蘇中央高(熊本県阿蘇市)の女子チームは地震発生から約1カ月、練習ができなかった。「先生や家族だけでなく、被災地を支えてくれたすべての人に、元気な姿を見せたい」。部員たちは、そろいの色とりどりのミサンガに思いを込め、試合に臨む。

 熊本地震の本震が発生した4月16日未明。阿蘇市も震度6弱に見舞われた。部員6人は全員が学校敷地内の寮暮らし。2階で寝ていた主将の小森愛子さん(3年)は突然の突き上げるような激しい揺れで跳び起きた。訳も分からず外に出て体育館に避難。仲間と身を寄せ合って夜を明かした。泣いていた部員もいた。

 避難生活が始まった。電気は使えず、食事は教師らが大分まで買い出しに行き、おにぎりと野菜だけだったこともある。年始に全員で参拝するなど、慣れ親しんだ同市の阿蘇神社の楼門が倒壊したのが「一番ショックだった」と小森さん。「これからどうなるのか、不安だった」

 数日後。教師の提案で、一緒に避難していた他部の生徒も含め約30人で、校庭いっぱいに白い石灰で「阿蘇魂」と書いた。巨大な文字を見て部員の一人、荒牧真歩美さん(3年)は「また、ここから頑張ろうと思えた」と振り返る。

 荒牧さんの両親は、大きな被害を受けた益城町在住。被災後、数日は連絡が取れず携帯電話を握りしめ、つながるのを待ち続けた。両親は無事だったが家は倒壊し、今も庭に張ったテントで生活しているという。

 学校で約1週間過ごした後、それぞれの実家に戻った部員が再びそろったのは5月9日。全員で抱き合って再会を喜んだ。翌日から練習を再開し、気付いたのは「普通の暮らし」の“尊さ”。小森さんは「柔道がつらくて嫌だと思うことが多かったけど、できなくなって寂しかった。大切さに気づいた」。

 ミサンガは毎年、6月の県高校総体や金鷲旗での健闘を誓って作る。今年は地元の復興への思いも込めた“特製品”。バッグなどに付けて会場入りする。

=2016/07/22付 西日本新聞朝刊=

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