夢追う夏 大分高甲子園へ 初勝利へ執念燃やし

西日本新聞

 7日に兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する第98回全国高校野球選手権大会に大分代表として出場する大分高(大分市)。強力打線を武器に、投手陣も安定感がある。2年ぶり2回目となる夢舞台。初めて夏の甲子園の土を踏んだ2014年夏は1回戦で敗退した。先輩の悔し涙を胸に刻んだナインが、バランスの取れたチーム力で初の校歌を響かせる。

 甲子園出場を決めた大分大会の全5試合で計60安打43得点。準々決勝、準決勝もコールド勝ちで、4試合で2桁安打を記録した。圧倒的な打力と安定した投手陣が生まれた背景には、昨秋の九州地区高校野球大会県予選での挫折がある。

 3回戦で4強入りした日田林工に1-7で力負けした。「この冬をどう過ごすかが鍵を握る」。思案を巡らせた松尾篤監督は、打撃陣と投手陣の強化に乗り出す。「自分は監督としてチームの精神面を鍛える。技術の底上げを任せたい」。指導を集中的に行うため、広瀬茂部長と川村耕平副部長に投打の指導を依頼した。打撃練習を任された川村副部長は「長打力はあるが、球を芯でとらえる正確さがチーム全体に欠けている」と分析。長さ1メートル、重さ約20キロの丸太にバットを打ち込む「丸太打ち」や、打つ瞬間にバットを止めるトスバッティングなど「振り切らない」打撃練習を導入した。

 「他のチームがボールを使った練習をしてるのに…。これで本当に大丈夫かなと不安はあった」と佐藤陸選手(3年)は明かす。それでも、「川村副部長を信じて」選手たちは地道な練習をひたすら続けた。そしてこの夏、チームの打線は県内最多の本塁打3本を放つほどに成長した。

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 投手力アップでは、広瀬部長が1キロの鉄球を地面に投げつける方法で手首のスナップを利かせるようにした。3キロのダンベルを使いながら指先も鍛えた。さまざまな工夫で変化球や制球力の向上を図った。

 なかでも主戦石本勝也投手(3年)が「地獄を見た」と話すのは、5、10、20、50メートル各10本のダッシュを短いインターバルで繰り返す「心拍数ダッシュ」だ。急激な心拍数の上昇に慣れることで試合での緊張を防ぐことができる。「大分大会でも焦ることはなかった」。石本投手は努力の成果をマウンドの上で実感した。

 「2人のおかげで打撃陣と投手陣が立派に育った」。甲子園出場を決めた直後の「勝利のお立ち台」。川村副部長、広瀬部長と肩を並べた松尾監督は“三本の矢”でチームをつくりあげてきた自負と感謝の気持ちを忘れない。

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 「2年前は調整とバッティングだけにとどめたが、今回は最後の1日まで鍛え上げる」。その思いを胸に松尾監督は、甲子園出場が決まった後もノックの手を緩めることはなかった。「気合を入れろ。出場だけで満足なんか」。2年間、チームで追い続けてきた目標は「甲子園で校歌を歌うこと」。出場の先にある「初勝利」を目指して厳しい練習を重ねてきた。

 大分での練習最終日となった7月31日。選手たちはグラウンドに並んで校歌を歌った。2年前の夏、甲子園での初戦敗退を味わった日から練習後に欠かさず続けてきたルーティンだ。

 列の先頭に立つのは木田陸人主将(3年)。校歌を口にするたび、頭に甲子園での戦いを思い浮かべてきた。「僕たちの目標は甲子園出場じゃない。勝利です」。2年間、挑み続けてきた夢。それを手にする戦いの舞台に今、立つ。

=2016/08/02付 西日本新聞朝刊=

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