亡き父と約束胸に躍動 初戦敗退の大分・沼本選手 「甲子園に出たよ」

西日本新聞

 全国高校野球選手権大会2日目の8日、第2試合に登場した大分の5番沼本大河選手(3年)は打席で父の言葉を思い出した。「全ての球を高校最後の打席だという覚悟で打て」-。その父が亡くなって4カ月。チームは初戦で敗れたが、一時は同点となる適時打を放ち、甲子園で躍動した。

 沼本選手の父、伸二さんは大分市で少年野球のコーチをしていた。「ここに絶対行かんといかんぞ」。沼本選手が小学生のころ、テレビの甲子園中継を見ながら何度も言われた。伸二さんも元球児。息子に甲子園の夢を託していた。

 2年前にがんが見つかった。入退院を繰り返しながらも伸二さんは沼本選手の試合結果に耳を傾けた。だが闘病の末、今年4月に42歳で死去。息子の勇姿を見ることはできなかった。

 大分ナインには沼本選手を含め、伸二さんの「教え子」が3人いる。1番の束野克実選手(3年)は「熱心に打撃の基礎を教えてくれた」と振り返る。3番の佐藤陸選手(3年)は参列した伸二さんの葬儀で「甲子園に行くから見守ってください」と誓った。

 この日、祖父の武郎さん(69)と母の亜弥さん(42)が遺影を手にスタンドから声援を送った。沼本選手は三回、同点の中前適時打を放った。生還したのは佐藤選手だった。

 「負けてしまったよ」。試合終了後、沼本選手は心の中で父に報告した。「でも、俺、甲子園に出たよ。だから俺の勝ちだよな」

=2016/08/09付 西日本新聞朝刊=

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