「熊本にVを」果たせず涙 秀岳館の県外ナイン、恩返し胸に熱闘

西日本新聞

 「恩返し」を誓った夏が終わった。第98回全国高校野球選手権大会で20日、秀岳館(熊本)は準決勝で敗れ、決勝進出はならなかった。「熊本に元気と感動を」を合言葉に勝ち上がってきた選手たち。県外出身メンバーは4月の熊本地震後、複雑な思いで地元に一時帰宅したこともあった。目標の全国制覇には届かなかったが、心身ともに熊本で成長し、県代表の誇りと感謝を胸に戦い抜いた。

 野球部の寮は熊本県八代市にある。熊本地震は震源域が広く、同市も4月19日に震度5強を記録するなど強い揺れが続いた。学校側は安全確保のため、寮生たちに「自宅に帰れる者は一時帰宅を」と指示した。

 「やっぱり帰らんでもいいかな」。松尾大河選手(3年)は大阪の自宅に帰る予定だった朝、母の由香さん(42)に電話で聞いた。「家が倒壊して帰れない仲間もいるのに帰れない」と言う松尾選手。「お願いだから元気な顔を見せて」と母に頼まれて帰宅したが、数日後には地震が続く熊本に戻った。

 親元を離れて甲子園を目指す選手たちに、熊本大会では「大阪に帰れ」とやじが飛んだ。大阪から応援に来ていた有村大誠投手(3年)の父、俊秀さん(48)はショックを受けた。その父に有村投手は「熊本は大事な時間を過ごした第二の故郷。代表として戦う」と静かに決意を伝えた。

 「熊本の人たちの支えでここまで成長できた」。試合後、有村投手はこらえきれずに目頭を押さえた。大阪出身の九鬼隆平主将(3年)は「日本一で恩返しできると思っていたのに…。申し訳ないです」と涙を流した。

=2016/08/21付 西日本新聞朝刊=

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