森福の神 緊急降臨 同点8回2死満塁角中斬り

西日本スポーツ

 緊急事態にきっちりと対処した。8回。突如制球を乱した先発の千賀が2者連続押し出し四球で追い付かれた。2死満塁で、さらに打率リーグトップの角中を迎えた。工藤監督は球審に「森福」の名前を告げた。「準備はできていました」。左腕がさっそうとマウンドに駆け上がった。

 初球の真っすぐに続いて2球スライダー。「真っすぐか迷ったけど、細川さんのリードで」。追い込むと最後もスライダーで体勢を崩して左飛。同点で踏みとどまり、こぶしを握って小さくガッツポーズした。直後の攻撃で福田が勝ち越しの決勝スクイズ。2年ぶりのシーズン50試合目の登板で2勝目を手にした。

 「今回はさすがに緊張した。負けたら優勝が決まる」。22日の日本ハムとの天王山でも、武田が残した6回無死満塁をゼロに抑えた。この日は「一打V逸」の場面。心理的重圧を乗り越え勝負を制した。「ピンチを抑えたら、その次にチャンスは来る。流れを持ってこられたかな」。その通りに試合は進んだ。

 昨季は8月中旬を最後に、1軍では戦えなかった。32試合で防御率5・82。「左打者の内角を攻められないと1軍では使えない」と首脳陣から指摘された。みやざきフェニックス・リーグにフル参戦。若手に交じりながら課題に臨んだ。「自信を取り戻すには、試合で抑えることを繰り返すしかなかった」。ベテランは屈辱と正面から向き合い、再び存在感を高めた。

 7月には30歳を迎えた。変わらぬ救援陣の中核だ。救援失敗した年下の投手たちに、翌日には声掛けすることも仕事の一つにしてきた。「すぐに気持ちは晴れないかもしれない。でも僕も、いろんな先輩に声をかけてもらって救われてきた」。練習中、落ち込んでいるスアレスを誘って2人でストレッチしたこともある。先輩による心のケア。ホークス投手陣の伝統を引き継いできた。

 「気持ちで負けるわけにはいかない」。9回のサファテにバトンをつなぎ、逆転優勝への望みをつないだ。連覇を知る男たちの目から、まだ炎は消えていない。 (谷光太郎)

=2016/09/28付 西日本スポーツ=

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