ホークス上林 4年目完全開花なるか
ホークスの宮崎キャンプは第3クールまで終了し、16日からの第4クールでは紅白戦も始まる。主力中心のA組野手陣で注目を集めているのが、体重10キロ増の重量ボディーで強打を連発中の上林誠知外野手(21)だ。高卒4年目の今季こそ1軍定着、さらには定位置を獲得して“開花”できるのか-。現役時代に打率3割を通算4度マークした、チームOBで本紙評論家の柴原洋氏(42)が、キャンプ序盤のティー打撃の連続写真から「3割」クリアに必要なポイントを挙げた。
太ももを中心に一回り大きくなった下半身の充実ぶりは、自分のタイミングで振ったときのライト方向への飛距離の伸びでも分かる。12日のシート打撃で高橋の高め真っすぐを右中間に運んだ本塁打は見事。あの日は練習からトップの位置やバットの軌道を確認しながら、スムーズなスイングで打てていた。初球を一振りで仕留めることができたのは打席に入るまでの準備ができている証拠だろう。
連続写真で目に付いたのが(1)の構えと(2)の始動だ。右膝を含めて、いい意味でリラックスした状態で球を待てている。右足を上げて体重を左足に乗せたときも軸がぶれていないし、球を見られる形になっている。
本来は(2)の姿勢からそのまま踏み込んでいけるのがベスト。(3)から(4)にかけて軸足がやや外体重になっているが、左の股関節を締める意識があれば問題ない。自主トレから重心を後ろに残す打ち方に取り組んできた影響もあるのだろう。
(4)と(5)ではバットの位置に注目してほしい。(4)では、後方で打っている真砂の背番号「64」の上にグリップがあり、トップができている。それが(5)のようにグリップが「64」の下まで下がり、左肩も傾いてしまっている。バットも下から出ている。あえて注文をつけるなら、この点だ。肩のラインは打者にとっての生命線。現役時代に私が心掛けていた、ボールを「上からのぞく」感覚だと両肩を平行に保てる。ベルト、胸、肩のラインを平行に回転できるとレベルで振れるようになるし、バットが下から潜って出ることはない。
自分で打球に角度をつけようとしているのか、上林は「捕手側からのぞく」形でボールを引きつけて打っている。だから左肩が下がり、下からバットを振り上げている。イチローさんは例外だが、右投げ左打ちの選手に多い傾向だと聞く。ちなみに上林の構えが似ていると言われる稲葉(篤紀)さんは左投げ左打ちだ。
バットが下から出てしまうと、打者にとって理想的な「インサイドアウト」や「インサイドイン」のスイング軌道を描きにくい。インパクトの瞬間で(6)のように膝が伸び切ってしまうと、変化球に対応しづらくなるので、もう少し膝の柔らかさをキープしてスイングに移行してほしい。
私が初めて打率3割を打った入団2年目は、春季キャンプからインサイドアウトのスイングを体にたたき込んだ。具体的には左手の押し込みだ。雑巾をぎゅっと絞る際の手首の角度を連想してもらえると分かりやすい。この形ができると、バットをインパクトまで最短に出せて、ボールの内側を捉えることができる。私は左の手のひらをボールにコンタクトさせていく感覚で打っていたので、よく左手親指と人さし指の間にまめができていた。残念ながら、今の上林の左手首には角度があまりなく、結果「インサイドアウト」のスイングができていない。
私のツボは内角低めだったが、上林は真ん中内寄りではないだろうか。ツボの近くに弱点があると言われるように、上林は12日のシート打撃でツボとみられるポイントのやや下のスライダーを空振りしていた。私も、1年目はツボから下のワンバウンドになる球をよく振らされた。新人選手にありがちなのだが、私も入団当初はプロの速い球に振り負けたくない気持ちもあり、「目付け」は真ん中からやや内寄りだった。結果的にインサイドへの意識を過剰に持たされ、外角球にも対処できなかった。
2年目以降は真ん中やや外寄りに「目付け」を変えたのが大きかった。投手から遊撃手の頭上を目がけて「逆方向に打ち出す」イメージをつけることによって、体の開きが軽減。打率を残すことができたのは、そのためだ。上林の場合、下から出てきたバットを(7)ではうまく返している。このあたりにも非凡さを感じる。逆に言えば、内側からバットを出していく意識ができれば、もっと楽に体をターンさせることができる。そうすることでスムーズにバットを出して、インパクトからフォローまで無駄のない一連の動きができる。
インサイドからバットができるようになれば、反対方向へ力強い打球が飛び出すはず。私もそうだったが、90度のフェアゾーンは最大限に使いたい。上林にとっても一つの課題ではないか。それをクリアできたときは3割はもちろん、20本塁打、さらには30本塁打も視界に入ってくるだろう。個人的には、体重が重くなった体で今まで通りの俊敏な動きができるのかも注視したい。もともと足もあり走れる選手。ホークスでは、柳田に続くトリプルスリーも望めるだけのポテンシャルを十分に秘めている。
私は入団2年目に定位置をつかんだが、開幕当初は2軍だった。他のライバル選手や外国人選手の故障をきっかけにチャンスをいただいた。ホークスの外野陣はハイレベルな上に競争も激しい。それでもチャンスが巡ってくることを信じて鍛錬と準備を怠らないことだ。その姿勢もレギュラー取りに不可欠な要素だ。
第4クールへ 気合十分
レギュラー取りを目指す上林がさらなるアピールを誓った。連日早朝から日暮れまでバットを振り込んでいるが、3度目の休日は師匠の内川らと今キャンプ初のゴルフで久々のリフレッシュ。シート打撃で高橋から右中間への豪快な一発を放つなどした第3クールに続き、第4クールへ向けても気合十分だ。「自主トレからやってきた延長で手応えはいいし、迷いなくできている。一番は結果だけど、内容もこだわっていきたい」と意気込んだ。
=2017/02/16付 西日本スポーツ=




















