沖縄の家族へ満塁弾 秀岳館3年の幸地捕手

西日本新聞

 第89回選抜高校野球大会の23日の初戦を11得点の猛打で快勝した秀岳館(熊本県八代市)。攻守の要となった幸地(こうち)竜弥捕手(3年)は、今年福岡ソフトバンク入りした前主将・九鬼隆平捕手の後を継ぐ期待の星。故郷の沖縄から支えてくれたアルプス席の家族に満塁弾で応えた。

 五回表2死満塁。幸地捕手は直球を振り抜き、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。沖縄県南城市から駆け付けたアルプス席の両親、香さん(46)と一夫さん(55)は「目の前で満塁ホームランを見せてくれるなんて」と涙を浮かべた。

 幸地捕手は軟式野球の経験しかなかったが、中学時代に練習を見学した縁で秀岳館に進んだ。「親は不安ばかり。でも、本人の意志が強かった」と香さん。

 部員約100人の強豪校。県外出身者が大半の寮生活は当初、人見知りの幸地捕手にとって苦痛だった。入部2日後、「もう、帰りたい」と弱音を吐く息子に、香さんは「踏ん張りどころよ」と諭すしかなかった。

 香さんは、週に1度は無料通信アプリLINE(ライン)で近況を聞いた。月1回の仕送り時は、大好物の揚げ菓子サーターアンダギー50個を早朝から作った。「懐かしい味。元気が出た」と幸地捕手。だんだんと寮生活にも慣れ「今は八代が第二の故郷」と話す。

 「九鬼以上」(鍛治舎(かじしゃ)巧監督)の強肩を買われて昨夏、新チームの正捕手に抜てきされた。秋の九州大会。香さんは仕事の合間を縫って熊本に足を運び、無理な時は職場のラジオで応援した。

 迎えた春の大舞台。ダイヤモンドを一周した息子の姿に一夫さんは「たくましくなった」。試合後、報道陣に囲まれた幸地捕手は「家族に自分なりの全力プレーを見せられた」とはにかんだ。

=2017/03/24付 西日本新聞朝刊=

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