東浜1年目以来4年ぶり完封

西日本スポーツ

 リーグ戦再開を迎える本拠地へ出掛けようという時だった。「あ、12時(正午)だ」。自宅の駐車場から愛車を発進させる前、東浜は黙とうをささげた。この日は、太平洋戦争末期の沖縄戦終結の日とされる23日の「慰霊の日」だった。沖縄県うるま市出身。先発ローテの屋台骨を支える右腕は約9時間後、今季チーム初完封の7勝目を挙げた。

 初回先頭の秋山を、微妙なボール判定の連続で歩かせた。出はなをくじかれそうなところだが「そういう(際どい)ところに投げてるし、早い段階でストライクゾーンも分かった」と、冷静だった。後続を打たせて取ると、味方に先制してもらった直後の2回を無失点に抑え、大量援護を呼び込んだ。123球でのシャットアウト。今季、本拠地では無傷の5連勝だ。

 前回登板は13日だった。「疲れを取って、気持ちもリセットして。いいタイミングだった」。その一方で「腕が振れてなかった」と本調子ではなかったことも自覚。試合と並行してシーズン中でも体を鍛えてきたことから、日程の関係で中9日となったマウンドに「体が軽いというか。要所でしっかり投げられたけど(甲斐)拓也のリードのおかげ」と感謝した。

 完封は新人だった2013年以来。「あの時はイケイケドンドン。今回は拓也と、初回から一つ一つの積み重ね」で、異なる充実感があった。工藤監督も認めた。「僕も経験あるけど、点差が開くと集中が切れてしまうときもある。今日はしっかり集中力を保った中で最後まで投げていた」

 カード初戦を担い、これで5試合目。お立ち台では「前回(巨人に)負けて、あらためて責任の重さを感じた」と明かした。翌日チームは無安打無得点で負け。「流れってある。カードの頭って大事だなと」。責務を果たした今回は笑うことができた。「序盤からあれだけ点を取ってもらって。最後まで投げないと、何言われるか分からないと思いながら投げました」

 全てはかけがえのない日常の中にある。沖縄の6月23日。「学校は休み。高校野球の試合も、どんな展開でも12時で止めて、黙とうするんです。前の日に授業で、おじいちゃん、おばあちゃんたちから戦争の話を聞いたり。そういうときにも『明日、12時に黙とうしてください』と教わって。(終戦から)72年ですか…」。確かなアイデンティティーを幹に、東浜の枝葉が伸びる。 (森 淳)

=2017/06/24付 西日本スポーツ=

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