石川、プロ最長7回0封3勝目

西日本スポーツ

 一瞬のけ反るような動きをしただけで、敵の主砲は手を出せなかった。石川がフルカウントからウイニングショットに選んだのは150キロ超の速球ではない。121キロのパワーカーブだ。初回に招いた1死一、二塁の窮地。中田を見逃し三振に切って取り、レアードを遊ゴロに仕留めた。

 同一リーグ相手の初先発で今季3勝目。「しっかり投げきれば、勝負できるんだなって思いました」。被安打は初回の1本だけ。自己最長の7回を先発では初の無失点。12奪三振は自己最多タイだ。「(甲斐)拓也のリードのおかげ。変化球(の要求)が多く、狙いを外してくれた」。3回は二盗を仕掛けた中島を刺してくれた。1歳下の“女房”に感謝しきりだった。

 球速があってブレーキの大きなカーブをメジャーでは「パワーカーブ」と呼ぶが、日本球界では石川の“専売特許”になるかもしれない。「あれだけ(鋭くて)大きな曲がりは他球団の投手でもあまり見ない」と清水バッテリーコーチも口にする。創価大時代、当時自信があったフォークに続く変化球を覚えようとスライダーに挑戦したが、指先で切る感覚がつかめなかった。そこで、ボールをグリップした上で手の甲からたたき付ける感覚で投げると落差が増したという。

 石川が振り返る。「映像で見たら『宜野座カーブ』と同じでした」。プロ入り後、右肘を痛めた影響で腕を下げると、より鋭く曲がるようになった。試行錯誤と故障の“産物”でもあった。今ではブレーク街道に欠かせない武器。先発4試合に限ると、計24回2/3で31奪三振、奪三振率は11・31の驚異的な数字になる。

 武田がきょう28日に復帰し、千賀も間もなく戻ってくる。先発ローテーションが一気に充実するが、裏返せば競争がそれだけ激しくなることを意味する。「一度でもつかまったら最後(9回)まで投げきれない」。その思いがあるから、手放しでは喜べない。中12日で週6連戦の先陣を託され、文句なしの快投で応えた右腕はまだ底を見せていない。 (谷光太郎)

 ◆宜野座カーブ 沖縄・宜野座高が甲子園に初出場した2001年春の選抜大会で、当時の投手が縦に鋭く落ちるカーブを駆使し、4強に導いたことから「宜野座カーブ」として広まった。

=2017/06/28付 西日本スポーツ=

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