熊本工・山口、火の国ストレートいきなり全開 プロ11球団スカウト目前、9回2死で自己最速更新151キロ

西日本スポーツ

 火の国ストレートがいきなり全開!! 熊本大会は春夏連続出場を狙う熊本工が人吉を5-2で破り、初戦を突破した。エース山口翔(3年)はプロ11球団のスカウトの前で自己最速の151キロを計測し、11奪三振で完投した。佐賀大会では2007年夏に「がばい旋風」で全国制覇を果たした佐賀北が苦しみながらも逆転勝ちで発進。長崎大会では昨夏代表の長崎商が初戦で姿を消した。九州豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市にある朝倉と朝倉光陽の一戦は雨のため順延となった。

 ■9回2死136球目に

 藤崎台がどよめいた。9回2死から熊本工の山口が投げ込んだ136球目。人吉の代打、平橋への真っすぐは自己最速を2キロ更新する151キロを計測した。「がむしゃらに腕を振ったら、いい感覚で投げられた」。観衆が騒然とする中、続く球も150キロを計測。いずれもファウルにされたが、最後はスライダーで11個目の三振を奪った。

 オリックスを除くプロ11球団のスカウトが注視した夏初戦。体力を消耗しないように“オン”と“オフ”の切り替えをテーマに臨んだ。「ブルペンから実戦を想定して投げてきた。マウンドでは“オフ”のときは心だけ燃やし、力を抜いた」

 走者がいないときは140キロ前後と力をセーブ。走者を背負うと全力で腕を振り、3回1死二、三塁のピンチも140キロ台後半の直球とスライダーで切り抜けた。失点は2四球に失策も絡んだ6回だけ。被安打3での142球完投勝利に中日の石井昭男スカウト部チーフは「シュート回転しない真っすぐはプロでも打てない。制球が良くなれば即戦力」と絶賛した。

 今春の選抜大会では智弁学園(奈良)を相手に11安打の9失点。8与四球と制球もままならず、初戦敗退を喫した。「見返してやる」と、それまで1週間に500球程度だったブルペン投球を、選抜後は約800球投げ込んでフォームを改善。同時に体力強化を図った。さらに5月にはテレビ番組で田中将大(ヤンキース)の特集を見て「ギアチェンジする際の心構えを学んだ」という。

 熊本工にとって4年ぶりとなる夏の甲子園出場を果たすには、あと5勝する必要がある。大きな壁となる秀岳館とは順当にいけば準決勝で激突する。安田監督は「他の投手もうまく使い分けたい」とエースの負担軽減を視野に入れているが、山口は自分で投げ抜くつもりだ。「状況に応じて三振を狙う球と打ち取る球を投げ分けていく」。初めて150キロの大台をクリアしても満足などしていない。進化を続ける快速右腕。「火の国」の主役は誰にも譲らない。 (末継智章)

   ◇    ◇

 福岡ソフトバンク・永山勝アマスカウトチーフ「真っすぐの球質が良く、スライダーの切れもある。マウンド度胸があるのもプロ向きでしょう」

 中日・三瀬幸司スカウト「春とは別格。体に軸ができ、力強さが出てきた。要所でアウトローに投げられるのはすごい。昨夏の甲子園で化けた作新学院の今井(達也、現西武)に似ているが、山口君はもう化け始めている。ドラフト上位は堅い」

 ◆山口翔(やまぐち・しょう)1999年4月28日生まれ。熊本市出身。幼少時に広島市に移り、落合東小4年から「高陽スカイバンズ」で軟式野球を始める。同6年に熊本市へ戻り、日吉中から熊本工高へ進学。昨夏は熊本大会準々決勝で秀岳館高に6-7で敗退。好きな投手は前田健太(ドジャース)。果汁入り炭酸飲料の「オランジーナ」が好物も、糖分を控えるのとビタミンCで体力を回復させるために「アセロラドリンク」を愛飲。181センチ、76キロ。右投げ右打ち。

=2017/07/12付 西日本スポーツ=

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