南筑V オール一本素根輝く 早い仕掛け、相手圧倒

西日本新聞

 平成29(2017)年度金鷲旗高校柔道大会第3日の23日、女子の5回戦から決勝までを行い、昨年3位で初めて決勝に進んだ南筑(福岡)が今春の全国選手権優勝の夙川学院(兵庫)を破って初優勝を飾った。

 南筑は夙川学院の先鋒阿部詩(うた)=2年=に副将まで4人を抜かれたが、今春の全日本選抜体重別選手権78キロ超級を制した大将の素根輝(あきら)=2年=が5人に全て一本勝ちする逆転劇を見せた。決勝での5人抜きは、1916年の第1回から100年を超える大会史の中で男女を通して初めての快挙となった。3位は3連覇を狙った敬愛(福岡)と昨年まで2年連続準優勝だった大成(愛知)。広陵(広島)がノーシードから唯一8強入りを果たした。優秀選手には素根、阿部ら10人が選ばれた。女子の大会を通じて3人が10人抜き、24人が5人抜きを達成した。


■決勝戦動画

 男子は2回戦の残りと3回戦を行い、3連覇を狙う国士舘(東京)、全国選手権優勝の桐蔭学園(神奈川)、同3位の延岡学園(宮崎)などが勝ち上がった。男子はこの日、2人が10人抜き、24人が5人抜きを達成。最終日の24日に決勝が行われる。

 名前通りの輝かしい伝説が生まれた。創設100年を超える大会で男女通じて初の決勝5人抜き。全国選手権女王を1人で倒し、南筑の素根輝は右拳を挙げた。「集中していて、5人抜いたことに気付かなかった。きつい場面もあったけど優勝したかった」。仲間と抱き合った素根の目からは涙があふれ出た。

 5回戦と準々決勝で大将同士の闘いを制し、準決勝で4人抜き。疲れが蓄積する中、決勝で夙川学院の阿部に引っ張り出された。互いに東京五輪を目指し、開会式で直接対決を誓い合った仲。「やっぱりきたか」。スイッチが入った。

 48キロ差の阿部を足技で崩し、横四方固めで一本勝ち。約30秒で仕留めると、相手次鋒も寝技で倒した。「チームのために絶対に負けたくない思いが足を動かした」と体重100キロとは思えない俊敏さで圧倒。常に先に仕掛け、中堅に大内刈り、副将には小外刈り。最後は払い巻き込みでオール一本勝ちを成し遂げた。

 金鷲旗初挑戦の昨年は4回戦から登場、通算11戦目だった敬愛との準決勝で相手中堅に敗れた。気持ちが折れた自分を許せず「納得するまで練習する」とタイヤ引きや学校近くの山を登るトレーニングなどで体力を強化した。体重100キロの男子部員との乱取りでは、団体戦で相手が引き分けを狙ってくる状況を想定。児玉久美コーチに「1分以内にポイントを取れ」と命じられ、早く仕掛ける意識を高めた。

 組み手や担ぎ技は兄の勝さん(21)と練習。6月の国際合宿では日本女子の増地克之監督に「もっと足技を使え」と指導された。感謝の気持ちを畳の上で体現し、昨年と同じ11試合で10回一本勝ち。早めに決着をつけ、試練を乗り切った。

 世界選手権団体戦代表の超高校級の猛稽古に、仲間も刺激を受けて力をつけた。準々決勝まで素根の出番を2度に抑え、大逆転劇につなげた。松尾浩一監督に続いて3回胴上げされた素根は「みんなが頑張ってつかんだ優勝。全国総体も勝つ」。男子が4度大旗をつかんだ伝統校で、女子が輝かしい歴史を刻む。

=2017/07/24付 西日本新聞朝刊=

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