兄との稽古「奇跡」呼ぶ 大逆転劇の南筑高・素根選手

西日本新聞

 大将素根輝(あきら)選手(2年)の勝利への執念が、南筑(福岡)女子に初の大旗をもたらした。23日の金鷲旗高校柔道大会の決勝で、4人を抜かれて訪れた出番。強豪相手に引き分けも許されない状況で、見事に決勝で初となる5人抜きの奇跡を起こした。全国屈指の有名校からの誘いを断って地元公立校を選び、兄とトレーニングを積んできた。スタンドに駆け付けた家族も涙で「万歳」を繰り返した。

 今春の全日本選抜体重別選手権78キロ超級を制した実力者。だが、金鷲旗決勝で出番が回ってきたとき、会場は「勝負あった」のムードだった。そこから先鋒、次鋒をなぎ倒し、会場の雰囲気は一変。最後は「まさか」を実現した。「いろんな方のおかげです」。目に涙がにじんだ。

 父親が柔道経験者で、小学時代から兄の勝さん(21)らと自宅のトレーニングルームで鍛錬を積んだ。兄が腕立て伏せを100回やれば、それをまね、兄が回数を増やせば、ついていった。兄を追って進学した南筑では大きくて強い練習相手がおらず、医療専門学校生となった勝さんと週4回、学校のほかトレーニングルームで稽古を重ねた。

 「努力の天才」であることを証明したのも決勝戦。払い巻き込み、小外刈り、上四方固めなど、5勝すべての決まり技が違った。田主丸中時代に3年間指導した同中柔道部の黒岩浩隆監督(54)などによると、身長162センチの輝選手は78キロ超級では小柄。体格差を克服するため、指導を受けながら技の入り方などを磨き、多彩な技を体得していったという。

 会場で試合を見守った勝さんは優勝が決まると「大会場の真ん中で活躍した妹を誇りに思う」と拍手。母美香さん(50)も「努力を間近に見てきたのでうれしい」と喜びをかみしめた。

 南筑男子で1964、65年に金鷲旗を連覇したメンバーで、東京から駆け付けた池田悦雄さん(69)は「胸が熱くなった。今度ぴかぴかの金鷲旗を母校に見に行きたい」と感慨深そうに話した。

=2017/07/24付 西日本新聞朝刊=

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