病越え「もっと強く」 亡き友への誓い胸に成長 福岡・大牟田1年森さん、優秀選手に

西日本新聞

 金鷲旗高校柔道大会最終日の24日、大牟田(福岡)の森健心(けんしん)選手(1年)=福岡県大牟田市=が満を持して登場した。幼少期に患った悪性リンパ腫を乗り越え、必死に稽古に食らいついてきた。昨年の全国中学校柔道大会個人90キロ級で優勝し、たくましく成長した心技体。兄優心(まさむね)さん(3年)と一緒の最初で最後の金鷲旗では、優秀選手に選ばれた。「あと2年ある」。もっと強くなる。

 父の整隆(よしたか)さん(47)は柔道3段。母のなぎささん(45)は2段で、金鷲旗に女子団体ができた1990年に準優勝した阿蘇(熊本)のメンバー。柔道一家に生まれた森さんは、3歳で柔道着に袖を通した。

 しかし翌年、お腹に膨らみがあって病院に行くと、血液のがんの一種、悪性リンパ腫と診断された。入院生活では、治療で髪の毛やまつげが抜けた。「昨日までできたことができなくなって心配だった」となぎささんは振り返る。

 約7カ月にわたる入院生活を経て、病を克服。その後は足しげく道場に通い、体力づくりに励んだ。1年後には道場主催の記念大会で優勝。小学3年生まで細身だった体は、兄に負けじと豆乳を1日2リットル飲んで大きくなった。

 忘れられない試合がある。小学4年の時、入院中に同じ病室でよく一緒に遊んだ1歳年下の男の子が白血病を再発させ、亡くなった。葬儀の翌日に県大会を控えていた。「友達の分まで頑張る。明日の大会は絶対優勝するけん」。言葉通りに優勝を果たした。

 その後も努力を重ね、うまくなると誓った足技は得意技に、小学4年当時身長145センチ、体重36キロだった体は177センチ、90キロに。友達への誓いを守るように、成長を続けてきた。

 「『ここまで強くなった』と胸を張れる試合がしたい」。24日の6回戦では抑え込み、大内刈りで2人を抜き、8強入りに貢献。大会で10人の優秀選手に、1年生ながら選ばれた。それでも「胸を張れる試合ができたかは分からない。だから、チームも自分ももっと強くなる」。必ず実現してみせる。

=2017/07/25付 西日本新聞朝刊=

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