【つかめ夏の大旗 秀岳館甲子園へ】(上) 悔しさ胸に攻守に変革

西日本新聞

 つかめ、夏の大旗-。兵庫県西宮市の甲子園球場で7日開幕する第99回全国高校野球選手権大会に、八代市の秀岳館が出場する。春夏春と3季連続で4強入りした強豪は、「日本一」を夢に描くのではなく、明確な目標に定め厳しい練習を重ねてきた。チームの戦力と選手の意気込みを2回に分けて紹介する。

 「コンパクトに、シャープに打って打線をつなぐ」。昨秋の九州大会以降、チームカラーが大きく変わった。バッティングリーダーの木本凌雅一塁手(3年)は「大きい当たりよりも、ライナーで野手の間を抜いて確実に点を取ることを意識してきた」と明かす。鍛治舎巧監督(66)も「本塁打1本より、連打の方がずっと相手投手のダメージが大きい」と強調する。

 長打が減ったとはいえ、切れ目のない打線は当てにいく打撃とは異次元の進化を遂げた。高校生離れした強い打球は、鍛え抜かれたスイングスピードが生む。春以降、選手たちは全体練習後も300回の素振りを習慣にした。呼吸を止め、10回連続で素早くバットを振る-。そんな反復を、内外角や高低に区切った10コース分繰り返す「無酸素スイング」も取り入れた。

 積み上げた努力は結果を呼ぶ。熊本大会の準々決勝では、3点を追う六回に大量5点を挙げ逆転劇を演じた。短打6本を集めて着実に走者をかえした。大会を通じて、中軸でも長打を狙わず犠打で走者を送る場面も目立った。

 走塁も変革した。盗塁数は昨夏の大会で31から今年の大会は6に激減したが、むしろ積極性を増しているという。合言葉は「相手にプレッシャーを与える走り」。選抜後、走者は単打1本で二つ先の塁を奪う練習を強化した。昨夏も甲子園の土を踏んだ走塁リーダーの半情冬馬遊撃手(同)は「走塁技術は相当上がった」と自信をみせる。

 重厚長大だった攻撃陣に戦略転換をもたらしたのは、左腕二枚看板の存在があったからだ。投手陣が強豪相手にも最少失点に抑える安定感があれば、強引に長打を狙ったり、失敗の危険がつきまとう盗塁を多用したりする必要がなくなる。

 いずれも最速148キロの両左腕、川端健斗投手(同)と田浦文丸投手(同)は熊本大会のマウンドを2人で守りきった。1試合当たり10三振を奪い、決勝まで5試合で7失点。選抜大会以降、チェンジアップのコントロールなどを磨いた抑えの切り札田浦投手は、熊本大会を通じて無失点。川端投手は「後ろに田浦がいると思うと安心して投げられる」と全幅の信頼を寄せる。

 3季連続の全国4強。ベンチ入りするほとんどの選手が甲子園の土を踏んだ経験がある。熊本大会でも際立ったのは、試合終盤の勝負強さだ。多くの選手は、チーム内の競争を促す試合形式の「紅白戦」で培われたと明かす。「試合で発揮できることは練習でできたことだけ。数多くのケースを知っておけば実際の試合で動きを即断できる」と広部就平主将(同)。鍛治舎監督は「ベンチのどの選手が試合に出ても遜色がないほど、層が厚い」と胸を張る。

 2016年春、夏、そして17年春。つかみかけた頂点をわずかな差で逃してきた経験をこの夏にどうぶつけるのか-。学校から5キロ離れた竜峰山にある777段の石段を走り込み、猛暑に耐えられる体力を培った。「一人一人が仲間のプレーに気を配り、悪いところを注意し合ってチームの一体感を高めてきた。このチームで必ず記録を塗り替えたい」。広部主将は仲間たちの思いを代弁した。

=2017/08/03付 西日本新聞朝刊=

PR

高校野球 アクセスランキング

PR

注目のテーマ