リーグV奪回ホークス、なぜ強い?

西日本新聞

 プロ野球の福岡ソフトバンクホークスが2年ぶりにパ・リーグを制した。9月16日の優勝決定は、2年前よりも1日早いリーグ史上最速。この時点で2位の西武ライオンズに14・5ゲームの大差をつけた。毎年の戦力補強の一方、今季も4年目の上林誠知選手や育成出身で7年目の捕手、甲斐拓也選手ら若手が台頭。育成と補強をどう両立させ、結果に結び付けたのか。

 「育成にはこだわっている。うちは3軍を持っている」と後藤芳光球団社長兼オーナー代行(54)は力説する。日本は1、2軍の構成が一般的だが、米国はメジャーを頂点に3A、2A…とピラミッド形に下部組織が連なる。これを参考に3軍まで組織の底辺を広げ、1軍の充実を図っている。

 3軍を創設したのは2011年。2軍でも出場機会に恵まれない若手の実戦確保が主目的で、独立リーグや大学、社会人チームと1年に約70試合を組む。日本代表入りした千賀滉大投手やレギュラー級となった上林、甲斐の両選手はここが原点。不動の主軸となった柳田悠岐選手も入団1年目に3軍戦を経験した。

 1球団の支配下登録選手の上限は70人だが、育成契約の選手に制限はない。ソフトバンクの23人は、16年に3軍制を確立した巨人と並んで12球団最多。その一方で「若い選手を預かる責任は重い」。戦力外になる選手には必ずグループ企業への転職を打診する。入団時にも球団の強みとして説明。携帯電話事業の営業職へ転身する選手も多い。

 昨年から福岡県筑後市に移ったファーム施設は、3軍専用の球場も備える。屋内設備では、ボールが側溝から自動回収される「球拾い不要」の打撃練習場がユニークだ。投球や打球の回転数、軌道などが数値化できる弾道測定器など最新機器も充実。後藤社長も「金額は60億、70億円になり、付帯するものも乗せれば100億円近い。施設を造るのは相当悩んだ」が、「これから5年、10年、20年のホークスの計」と踏み切った。

 補強は確実性重視で「ピンポイント」。今季はロッテで3年プレーしたデスパイネ選手を獲得し、主軸に据えた。15年オフに退団した李大浩(イデホ)選手の穴が埋まらず、優勝を逃した昨季の反省から強打者が必要だったからだ。獲得の決め手は「確率論。日本でのデータを読み込んだ」という。プロ野球初のシーズン50セーブを達成した抑え投手のサファテ選手も、広島で2年、西武で1年の実績を評価した。

 球団経営の根底にはソフトバンクグループのポリシーがある。「孫オーナーからも『12球団一、データを活用できなきゃいけない』と言われている。AI(人工知能)も活用しなければ」。現在、ソフトバンクはAIに注力。球団もAIを備え、他球団の主力投手の球筋を再現できる打撃練習用マシンを、ファーム施設用に開発したいという。

 「実はそのための産学連携みたいなものもやり始めている」と後藤社長。3軍や充実したファーム施設の背景には、豊富な資金力がある。その上で、ソフトバンクの一翼らしい発想と思い切った投資を行い、10年からの8年でリーグ優勝5度の強豪チームをつくり上げた。

 育成選手 選手育成のため球団の雇用枠を広げる制度で、プロ野球で2005年に導入された。上限70人の支配下登録選手とは別枠。支配下登録選手を65人以上保有する球団に限り育成選手を保有できる。支配下登録されないと1軍公式戦には出場できない(オープン戦は出場可能)。背番号は3桁で、最低年俸240万円。育成ドラフトで入団した育成選手には、球団から支度金として300万円程度が支払われる。

=2017/09/24付 西日本新聞朝刊=

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