稲葉J白星発進 サヨナラ呼んだ上林、延長で起死回生同点弾 悔し涙から再出発

西日本スポーツ

 国際大会「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」が開幕し、稲葉篤紀監督(45)率いる侍ジャパンが初陣を飾った。タイブレークの延長10回、上林誠知外野手(22)=福岡ソフトバンク=が起死回生の同点3ラン。田村龍弘捕手(23)=ロッテ=のサヨナラ二塁打につなげた。中盤に逆転されるなど苦しみながらも、稲葉ジャパンが2020年東京五輪へ向けて大きな一歩を踏み出した。

 敗色ムードを一振りで振り払った。上林の打球がバックスクリーン右に飛び込んだ。右手を大きく突き上げると、ベンチでは稲葉監督が両手を上げて喜んだ。普段は感情をあらわにしない男が、心からの笑顔を浮かべた。初戦のサヨナラ勝ちを呼び込む、奇跡の同点3ランだった。

 「最後の打席でチームに貢献できて良かった。(ソフトバンクでのシーズンから)切り替えて代表に臨もうと思っていた。結果が出て良かった。初戦をものにできた。勢いに乗っていける。この勝ちは大きい」

 3点を追う延長10回。1死一、二塁で汚名返上の打席が回ってきた。稲葉監督に「心中する」とまで信頼されながら、そこまで4タコ。盗塁も失敗していた。「最後まで結果が出ていなかった。3ボール1ストライクになったので、真っすぐ一本を狙って、思い切って振った」。5球目の真っすぐを狙って捉えた。土壇場で放った意地の一発だ。

 涙からの再出発を誓っていた。CS突破後のセレモニーで人目をはばからず涙した。同じ外野手の城所に「これからのホークスを背負っていくんだから」となだめられ、勝手に涙があふれてきた。「なんで涙が出てきたのか分からなかった。カメラで撮られないように帽子を深くかぶったんですけど…」。調子が上がらず、第5戦は今季初めて出場選手登録を抹消された。プロに入って初めて流した涙だった。

 日本シリーズも不完全燃焼に終わった。しかし、上林には最後のチャンスが残っていた。打撃フォームも似ていると気に掛けてくれた稲葉監督に恩返しをしたかった。クリーンアップの5番で起用された。「自分がヒーローになると楽しみながらやれている」とポジティブに臨んだ。

 初戦の相手は母蓮草(ヨンチョ)さんの母国でもある韓国。子どものころ家でサッカーの日韓戦を観戦して日本ばかり応援していると「誰の子だよ」と冗談めかして突っ込まれたという。日の丸を背負うまで成長した上林は「自分が出るのでこの試合は日本を応援してくれると思う」と笑った。そしてヒーローになった。2020年の東京五輪の星が、稲葉ジャパンの初陣で輝きを放った。 (小畑大悟)

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■内川解説“登板” 上林弾たたえる

 テレビ中継のゲスト解説のため東京ドームを訪れたソフトバンクの内川が、初めて侍ジャパンに選ばれた上林の一発をたたえた。そこまで無安打だった5番打者の同点弾に、中継の中で「打ってほしい最高の場面で打った」と話した。内川は2009、13、17年と3大会連続でWBCに出場。09年には世界一を経験した侍ジャパンの先輩は試合前に「若い時期に日の丸を背負うことの意味を身をもって知ることができるのは大きい」と甲斐も含め大舞台に立つ2人を激励した。

=2017/11/17付 西日本スポーツ=

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