外崎、先制V弾 稲葉ジャパンのおトノ様~!!
■「夢のよう」
侍の万能6番打者が大仕事をやってのけた。2回2死、外崎は1ボール2ストライクから3球ファウルで粘り、7球目の高めの真っすぐを捉えた。右翼席への先制弾は、代表での自身1号ソロ。「何とか外野の頭を越えてくれと思った。代表でホームランを打てて、夢のよう」。価値ある一振りが、自身の大活躍と日本の快勝劇を呼び込んだ。
5回は先頭で中前打を放ち、犠打で二塁へ進むと「ミーティングでチャンスがあるぞ、と言われた」という三盗に成功。8回には左翼から三塁に回るなど、走攻守全てで躍動した。9回にも適時二塁打を放って3安打2打点。稲葉監督も「外崎が打って先制して、みんなリラックスできた」と絶賛した。
■つなぐ意識
合流直後「自分が代表でいいのかな、という不安がある」と弱音をこぼした男は、今や侍に欠かせない存在になった。日本ハム、西武との強化試合、さらに韓国、台湾戦と4試合連続で6番。「つなぐ役割など、いろんな状況がある」。西武では自己最多の10本塁打を放ち、半分の5本が右方向。つなぎの意識を持っている上に長打力も兼ね備える手ごわい打者だ。
西武では3年目の今シーズン開幕直後からスタメンが増えた。当初は結果が出ず、起用を続けることへの批判も耳にしたという辻監督は「内外野ができて、体が強い。こいつを育てないといけないという葛藤がずっとあった」と振り返る。その期待に応え、一気に侍ジャパンのレギュラーにまで駆け上がった男は、鮮やかな一発で自身の急成長を証明した。
初戦で豪快な2ランを放った山川は、富士大の1学年先輩。外崎はこの日沈黙した4番の分もカバーした。「決勝も全力でいく」。覚醒した“トノ様”が、アジアの頂点への道を切り開いた。 (松田達也)
=2017/11/19付 西日本スポーツ=