厳しく鍛えられた“温室育ち” ソフトBの雪ん子ドラ4椎野がこもった場所とは

西日本スポーツ

 【ソフトバンク ルーキーたちの履歴書・後編】

 今秋のドラフトでソフトバンクが指名した支配下5選手の足跡をたどる特集企画。ドラフト4位、椎野新投手(22)=国士舘大=の後編は、豪雪地帯に生まれた右腕を育んだ環境について。

⇒【前編】「大きいだけで目障り。辞めてしまえ」ドラ4椎野に怒声を浴びせた恩師の思い

 「大きいだけで目障りだからやめてしまえ」。椎野を激しく叱責(しっせき)した新潟・村上桜ケ丘高の監督、松田忍の狙いは的中した。椎野は「監督を見返してやる」と目の色を変えた。松田は「野球の夢だったら実現する。ただし、その気がないなら無理」と大いなる可能性を信じ、ハッパを掛けた。事あるごとに「おまえの目標は何だ?」と問いただす。最初は嫌々ながら「プロ野球選手です」と答えた椎野の表情は、少しずつ変わっていった。

 2年の冬、急成長を遂げた。豪雪地帯でグラウンドは使えない。小さなビニールハウスで腕を振った。ネットに向かって毎日のように200~300球を投げた。体重も入学時より10キロ以上増え約85キロ。最速143キロを記録した。3年春の新潟大会で優勝し一躍注目を集め、夏の新潟大会で準優勝。プロ志望届を提出したが指名されなかった。「ちょっとだけ期待していたけど、呼ばれないだろうと分かっていた。すぐに大学で頑張ろうと切り替えた」。ドラフトのネット速報は途中で見るのをやめた。

 国士舘大に進み、一つの決断を下した。1年秋、制球が定まらないため肘を少し下げるフォームに変更。時を同じくして、ロッテとオリックスで主に捕手として12年間プレーした辻俊哉(38)がコーチから監督に昇格した。「年上にかわいがられるけど、年下を引っ張ることがなかった」と見ていた辻は「嫌われ役になっても先頭に立ってやっていかないと」と助言。ランニングで先頭を走るようになり、地味でも黙々と練習するようになった椎野は「口で言うことはできなくてもプレーで引っ張っていける」とエースとして背中でチームを引っ張った。

 大学で身長は195センチ、球速も148キロまで伸びた。辻から「チームの核となる選手には捕手も育ててほしい」と配球も学んだ。4年前はゼロだったプロからの調査書が8球団から届き、日本一のチームから指名を受けた。「(松田から)本気で願えば夢はかなうと(高校の)3年間言われ続けた。大学まで信じてきてよかった」。高校入学時に鉛筆と呼ばれた頼りない姿はもうない。文字通りの大型新人が自信を持って新たな世界に飛び込む。=敬称略

 (次回はドラフト5位、秀岳館高・田浦の前編)

=2017/12/11 西日本スポーツ=

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