ノムさん明かす 阪神オーナーにお願い「絶対ダメですか」/ホークスOBトーク2

西日本スポーツ

 ソフトバンクは3月31日のオリックス2回戦を、球団創設80周年企画「レジェンドデー」の第1回として開催した。ゲストとして招かれた南海OBの野村克也(82)、江本孟紀(70)の両氏は試合前にヤフオクドーム内の「王貞治ベースボールミュージアム」でファン約100人を前にトークショー。その様子を2回に分けてお届けする。

 (1からつづく)

-現ソフトバンク球団会長の王貞治氏とは1973年、巨人との日本シリーズで対戦。江本氏はその後、阪神でも対戦した。

江本孟紀氏(以下、江) 5年ほど(阪神で)。ええ。王さんと。

野村克也氏(以下、野) 「王シフト」(王対策として敷かれた極端な右翼寄りシフト)って言うじゃないですか。「王シフト」はみんな知ってても「野村シフト」は知らないんだよね。こっちの方が先なんだよ。あったんだよ。特に阪急あたりはもう。外野2人、内野5人。知らないの? 「野村シフト」の方が早いし先なんですよ。ねえ。(司会者に)勉強不足だ。

江 (打者・王は)いや、怖かったですね。もう怖かった。やっぱりあの、ピッチャーってバッターの目を見るでしょ。王さんの目が一番怖かったんで。うん。だからなるべく目をそらしてましたよ。見ないように。

野 彼はオールスターで20何打席ノーヒットって知ってる? その時のキャッチャー誰だか分かってる? いやあ…僕が一生懸命、苦労してできた記録をね、彼が簡単に破っちゃうからあったまきてね、セ・リーグのピッチャー何やってんだあと。で、オールスターで、王はこうやって攻めるんだって模範を示してるのに、全然、参考にしない。

 結局、ホームランバッターって言ったら、常識的に、外角中心に攻めるでしょ。それがちょっと中、入ると彼のホームランゾーンになっちゃうんだよ。彼はインコースを打つのが下手なんですよね。それで、合気道打法だからいっつも真っすぐしか待ってない。ね。

 ですからインコースへ…真っすぐはこなすけど、そこへキュッと、今で言うカットボールですよ、あんなちっちゃいスライダーをピュッと曲げたら全部ファウルにする。そしたら簡単に追い込めるから。追い込んだら、もう外のボールゾーンからカーブとか、真ん中辺りにボトッと落とすシンカーとか。そうすると打ち取れるんですよ。簡単なんですよ。

江 いやあの、そういうね、ミーティングでね、バッターを順番にこう、やるわけですよ。そうすると、当時から尾張(久次)さんっていうスコアラーがいてね、データ野球っていうのを元々、南海はやってたんですよ。もう、すごいデータがね。最近のことのように皆さん思いがちですけど、もうその時代からデータはやっててね。

 そうすると王さんのデータとか、僕もセ・リーグいたときに見たときにね、欠点がないわけですよ。南海で、監督のミーティングの中で、欠点がないときは長所のそばに欠点があるって言われた。王さんの最大の長所は何かって言ったら一本足でしょ。あぁ、じゃあ一本足の上げるときのタイミングさえ狂わせばいいなぁと思ってね。

 だからそういうの、参考になったんですよ、すごく。南海時代のそういう、研究したことがね。阪神はもうサイン三つしかなかったです。はい。素晴らしい天才の選手ばっかりだったんでね。それゆけ、やれゆけでね。楽でしたよ。なかなか受け入れてもらえなかったですけどね、僕は。

野 僕は阪神の監督やりましたけどね、2月のキャンプで毎日1時間、ミーティングやるんですけど、聞いてないんだよ。で、マネジャーに、阪神って監督、ミーティングやんねぇのかって聞いたら、全然、やってんの見たことないですよって。そういうチームですよ。だから人気は先行して、お客さんがボンボン入るから、あんまり危機感がないんですよね。

 いやもう阪神の監督やったときはものすごい後悔しました。受けなきゃよかったと。で、オーナーのとこ行って、辞めさせていただきますと。お願いにいったんですけど、困りますと。3年契約ですから3年間はやってもらいますと。絶対ダメですか?って言ったら、ダメですって。許してもらえなくてよ。あの3年間は本当に無駄な…。

江 もう阪神の話はいいんじゃないですか(笑)。日本シリーズ(1973年)に出たときに、その時の予想も0勝4敗で。もう巨人が9連覇してるんで。南海なんか出てきても…みたいな。評論家はみんな4勝0敗で巨人ってやってんですよ。(プレーオフから)中1日しか空いてないのに、おまえ行けって。ヤケクソで使われたんですよ。そしたら結局、その試合、あの、完投勝ちしまして。ま、自慢するようですけど。南海ホークスが日本シリーズで巨人に土をつけた、最後の試合だったんですけどね。

野 僕は彼に鍛えられたっちゅうのが分かるでしょ。もう彼を部下に持ったら、もう、どこのチーム行っても、誰に会っても怖いやついない。右向け言ったら左向くからね。だから右向かせたいときは左から攻めるんですよ。逆から攻めるんです。もうこの3人(江夏、江本、門田)にずいぶん鍛えられました。

江本 まあ偉大な監督ですからね、その後の成績からしても。僕らは、幸せだったのは一緒にプレーができた。野村監督といわれてますけど、プレーヤーの野村さんとプレーした人、もうだんだん少なくなってきてる。まあ博多に一人、藤原マン(満)という人がいますけど。ちょっと太りすぎでね、醜い体つきになっちゃいましたけど。もう数少ないですよ。

 この前もあの、ホークスのOB戦、宮崎でやったときも、旧南海ホークスの人はやっぱ、数がちょっと少なかったですよね。ダイエーとソフトバンクのOBの方が多かったですけどね。そういう意味ではまあ、僕らはもう年も年ですけど、野球人生を振り返ったら、やっぱ、いい時期を過ごしたなと思ってね。

-今のソフトバンクを見ていて思うことは。

江 いやこれはもう素晴らしいですよ。何が素晴らしいかって、やっぱ組織が素晴らしいですよ。今、3軍まであるじゃないですか。3軍まであるのは巨人とソフトバンクだけですけど。巨人はまあやり方がちょっとヘタなんでそんなに効果、出てないですけど。

 やっぱりキャンプに行っても1軍と2軍、3軍がみんな、同じところで練習してるでしょ。横目で見ながら、3軍は上に上がりたい、1軍は下に降りたくない、目でチラチラしながら、刺激しあってやるような、そういうこの、組織がやっぱりしっかりしてるなあと。

 それとね、明日(4月1日)、実は高知で、高知ファイティングドッグスと、ソフトバンクの3軍が開幕戦やるんですよ。四国の独立リーグのね。で、私はあの、一応(高知の)総監督なんで。明日、入場式に、駒田(徳広=高知監督)を後ろに乗せてハーレーで乗り込んで。それをやらないとどうもね。

 そりゃまあ、どうでもいい話なんですけど、やっぱり、そこまで来てやってくれてんですよ野球を、3軍の連中がね。コーチングスタッフを見たら1軍ですぐ使えそうな人ばっかり。だからその辺がね、よそと違うんですよ。だから選手が底上げして強くなっていくっていうのはね、こらもう、長年かかったでしょうけど、組織、それからそういう層の厚さですよね。

野 見つける、育てる、生かすっていう、これが監督の基本的な仕事だと思うんですけど。僕は、ソフトバンクがこれだけ安定した強さを見せるようになった大功労者は…簡単ですよ。孫さんですよ。もう私は、よう忘れないですけど、「金は出すけど口は出さん」っていう。最高のセリフじゃないですか。

 他のオーナーは金は出さんけど口は出しよる。こないだも楽天の三木谷オーナー…ゴタゴタ言ってましたけど、僕んときゃ(楽天監督時代)一切、顔出さなかったけど、ねぇ。梨田になったら今もう、顔出して、好きなこと言ってるじゃないですか。ああなったらチームは終わ…ダメですね。素人は黙ってろっていう、ね。うーん。

 ま、気持ちは分かりますよ。オーナー。金出してんだから勝ってもらいたいっていうのはね。でもまあ、野球の素人が、プロの監督に口出ししちゃいかん。その前にこれと決めて監督やらしたんだから、やっぱりその監督と心中するぐらいじゃないとね。と思いますよ(場内拍手)。

-今季もソフトバンクが断トツで優勝の本命に挙げられている。

江 まあまあ解説者のほとんどはもう、文句なしに挙げてますけど、それじゃあ面白くないからね、野球は。

野 80年の歴史でね、ピッチャー出身の名監督っていないんだよ。外野もそうだけど。日本一になった監督さんってのは大体、内野手かキャッチャー。どうしてもね、現役時代の経験がベースになって監督やりますからね。そうすると一番、困んのは選手ですよ。その辺が、工藤監督は分かってんのかどうか。知りませんけど。

江 (司会者に)話題、変えた方がいいよ。そういう趣旨じゃないね(笑)。

野 今日はソフトバンクをヨイショする番組? こいつ(江本氏)も口が悪かったはずなのに、弱くなったね…。これね、こういう談話を言うようになったっていうことはね、ユニホームの色気があるっちゅうことよ。

 僕が挙げた3悪人、江夏、江本、門田ね。この共通点、分かります? コーチ、監督の経験がない。ねえ。オーナーでも社長でも、見てるよ、よく。そりゃあ江本には悪いけど。やっぱり監督とかコーチに呼ばれるようにならないと。好きなこと言ってりゃいい、ちゅうようなもんじゃないんだよ。分かったかコラ。

江 いや僕は、元々、やる気はないですからね、本来。

野 いやいや…やる気がないの前の話してんだよ。やる気の前に(打診が)来ないだろうが。

江 それはね、オーナーの見る目がないからですよ。

野 こういうおごり方は残念。謙虚さがない。

江 あの…話題変えましょう(笑)。

-80周年を迎えたホークスへの思いは。

野 まあ、ホークスは大丈夫でしょう。ライバルのチームがいないじゃん。今年もホークスの優勝でしょう…。

江 いやいや、まあ、もうちょっと。言い足りなかったらいけない。

野 優勝したから名監督じゃないよ。この戦力があったら誰がやっても優勝だよ。

江 いや、まあ僕は、ホークスという名前を永遠に残してくのか…まあむしろ、ホークスは置いといて、違う名前でもいいんじゃないかと思うんですよ、個人的には。やはりもう、福岡とか九州だけじゃなくて、全国的に、昔の巨人に代わるぐらいの、主導権を握れるような球団になってほしい。もう今、人気のセとかいうの、ないですから。パ・リーグの人気がこう、上回ってるわけですから。ぜひ、そういう高い目標を目指してほしい。

野 南海が身売りをするときに、条件出したんでしょ。南海か、ホークスか、残してくれと、多分…そのように聞いてますけど。まあソフトバンクホークスで定着したから、いいんじゃないですか。

江 ま、それは、いいです、どちらでも。あのちょっと個人的な思いを言っただけなので(笑)。

 (おわり)

=2018/04/02 西日本スポーツ=

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