“艇王”が現役だったら… 植木特命理事にインタビュー 福岡ボート「マスターズチャンピオン」17日開幕

西日本スポーツ

マスターズチャンピオンについて熱く語る植木通彦特命理事 拡大

マスターズチャンピオンについて熱く語る植木通彦特命理事

 福岡ボートのプレミアムG1「第19回マスターズチャンピオン」(優勝賞金1000万円)があす17日、熱戦の火ぶたを切る。今大会はマスターズチャンピオンの歴史において一大転換点。今大会から出場規約が変わり、年齢制限が満48歳以上から満45歳以上に。出場メンバーが大幅に若返ることで、SGやG1の一線級で活躍する選手が多数参戦する。その筆頭は王者・松井繁で、今垣光太郎、太田和美、服部幸男に、昨年のグランプリにも出場した田中信一郎や前本泰和と、今年の特別戦でも活躍する強豪がズラリ。まさに今節のキャッチコピー通り、“今年のマスターは、一味違う”。そこで、今回は特別に松井や服部と時代を切り開いた植木通彦日本モーターボート競走会特命理事に、今回のマスターズチャンピオンを熱く語ってもらった。

 現代ボートレースのパイオニアであり、ボート界の頂点に君臨した“艇王”植木通彦。2007年に40歳を目前にして突如引退したが、もし現役なら“王者”松井繁らとともに今回の目玉になるはずだった。『If…植木通彦』として、今回のマスターズチャンピオンへの思いを伺った。

-今年から年齢制限が変わり、バリバリのSGレーサーが参戦します。

 植木通彦日本モーターボート競走会理事(以下植木)「いろんな意味で刺激のある大会ですよね。まだマスターズが“名人戦”と呼ばれていた初期は、SGに出た方たちだけで52人集められていた。今回からがその第2期になりそうですね」

-その中には、“王者”松井繁の名前も。“艇王”から見た“王者”というのはどんなものでしたか?

 植木「レースはとにかくうまい。先行していてもあっという間に追い付かれる感じでしたね。でも、艇王や王者と呼ばれていたからと、特別な意識はなかったですね」

-ライバルという意識ではなかった?

 植木「自分は野中(和夫)さんや中道(善博)さんといった大先輩達と世代闘争をしていた立場。その大先輩たちを倒すために全力を注いでいたので、松井君や服部君に対して意識はあまりなかったんですよ。すごいイケメンだなとは思っていましたけどね(笑)。でも、世代闘争がある程度終わったと思ったら、気づいたらすぐ後ろにいて越された感じでした」

-でも、この世代の選手はみんな植木さんを意識していたと思いますが?

 植木「少しでも後輩に影響を与えられていたのなら、うれしいですけどね(笑)。ただ、松井君に限らずこの人だけに勝とうとか考えてレースをすると、レースが乱れてしまうんですよ。だから、艇王だから王者には負けないとか、そんな気持ちは一切なかった。自分に余裕がなかったのかもしれませんけどね」

■松井選手が今でもトップに君臨 本当にすごいこと

-でも、そんな現役時代に頂点を争った松井選手が、今でもボート界のトップに君臨している。

 植木「本当にすごいことですね。精神力も体力も、ものすごい努力をしているんだと思います。そして、それを持続できる環境をつくっていることが素晴らしい。自分にはできないことですね」

-マスターズを走るイメージは全くなかった。

 植木「あの年齢で引退すると決めていたので。(2007年の平和島)クラシックの優勝戦でFしたことや、その年の福岡でのグランプリに出られなくなったことは関係ない。でも、地元でのグランプリは走ってみたかったですね。あと一年早くやってくれていれば(笑)。でも、桐生で大けがをした時に、40歳で辞めると決めていた。選手としての時間が短いから、必死で頑張ったと思う。それがあってこれだけの成績を残せたんだと思いますよ。引退時期を決めずに選手生活を過ごしていたらどうだったか…」

■田頭先輩はF 暢さんは事故をしないように(笑)

-でも、九州のファンはこのマスターズを走る“艇王”植木を見たかった。

 植木「そういう声があるのなら、選手冥利(みょうり)に尽きるし、うれしいですよね。でも、今回は切磋琢磨(せっさたくま)した同世代に、憧れだった今村豊さんもいてレースは絶対に面白い。ボートレースが一番盛り上がっていた時期に活躍した選手がそろい、それぞれ個性があってそこにファンもしっかり付いている。僕、個人としてもレースが本当に楽しみ。もし僕がここにいたら? 今はもう、ターンでサイドを掛けることもできない。もうエキシビションしか走れません(笑)」

-地元勢にもエールを。

 植木「立場的に同期や同県だけを応援する訳にはいかないけど、やっぱり身近な存在だし、そこはね。藤丸(光一)選手の福岡に対する思いは僕ら以上。今回は施行者推薦でもあるし、いつも以上に頑張るはずだし頑張ってほしい。田頭(実)先輩はF、同期の(今村)暢さんはとにかく事故をしないように(笑)」

◆植木通彦(うえき・みちひこ)1968年4月26日生まれ。北九州市出身。86年11月に59期生として福岡でデビュー。選手生活3年目に桐生ボートで転覆した際に顔面を75針も縫う大けがを負うも、そのけがをした桐生で復帰。“不死鳥”と呼ばれるゆえんに。現役時代はSG10V、G123Vをマークし、“艇王”の名で親しまれた。2007年7月の鳴門一般戦で39歳にして引退。現在は日本モーターボート競走会の理事を務める。

=2018/04/16付 西日本スポーツ=

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