日南学園・辰己99球完封 「エースはおまえじゃなくていい」と言われ

西日本スポーツ

 日南学園(宮崎)が丸亀城西(香川)を2-0で破り、3回戦に進出した2016年に続き初戦突破を果たした。エース辰己凌晟(3年)が4安打無失点に抑え、わずか99球で完封。8番奥野竜也(3年)は3回、先制の口火を切る二塁打を放つなど、2安打の活躍で病気と闘う母に勇姿を届けた。35年ぶりの出場となった東海大熊本星翔は2点リードの4回に逆転満塁弾を浴び、3-9で敗退。甲子園初勝利はならなかった。鹿児島実はプロ注目右腕、金足農(秋田)の吉田輝星(3年)の前に14三振を喫して1-5で敗れた。昨夏覇者の花咲徳栄(北埼玉)は鳴門(徳島)に8-5で逆転勝ちした。

 176センチ、73キロのエースの体は甲子園のマウンドで一回りも二回りも大きく見えた。日南学園のエース辰己が丸亀城西を完封し、2年ぶりの甲子園で好発進だ。「自分では出来過ぎ。公式戦での完封は初めてです」と辰己は声を弾ませた。

 130キロ台前半の直球にスライダー、チェンジアップで緩急をつけて丁寧に投げた。内角を苦手とする相手打線のデータから内角を突き、テンポのいい投球で最後までペースを崩さなかった。

 4回までに3安打を許したが、5回以降は内野安打1本だけ。4回1死二塁にけん制で走者を刺すなど、反撃の隙を与えず99球、1時間42分で終わらせた。「野球をやってきた中で今日が一番いい投球だった」と言うほどのベストピッチング。金川豪一郎監督も「びっくりした」とその投球に目を見張った。

 一度、エースを返上しようとしたことがある。5月の県選手権のとき、背番号1をもらった辰己は控え選手に「エースはおまえじゃなくていい」と言われた。泣きながら寮に隣接する金川監督の家にユニホームを返しに行くと「返上するか、自分を変えるかどちらかだぞ」と言われた。振り返ると「エースだから」というおごりがあり、控え選手が練習の準備をするのは当然だと手伝いもしなかった。「自分じゃなく、チームのために投げるようになった」。精神的にもエースに成長した。

 次は常葉大菊川(静岡)と対戦する。「チームとして一つ一つ勝っていきたい。最終的には全国制覇を狙います」。仲間と力を合わせて、頂点への階段を一段ずつ上っていく。 (前田泰子)

 ◆辰己凌晟(たつみ・りょうせい)2001年2月1日生まれの17歳。奈良県出身。小学2年で軟式の「橿原カープ」で野球を始め、畝傍中では硬式の「奈良葛城ボーイズ/JFK」で投手、外野手。日南学園では2年春からベンチ入りし、同年夏からエース。好きな言葉は「大胆かつ丁寧」。176センチ、73キロ。右投げ左打ち。

 ◆福岡ソフトバンク・寺原(テレビ観戦した母校・日南学園の勝利に)「辰己くん、ナイスピッチングでしたね。僕は甲子園で完封がないので、本当にすごいなって思いながら見ていました。バックもしっかり守ってくれたからこそだと思います。甲子園で野球ができる幸せをかみしめてプレーしてほしいですね」

=2018/08/09付 西日本スポーツ=

PR

高校野球 アクセスランキング

PR

注目のテーマ