亡き父がくれた最高の夏 沖学園・石橋投手 真っ向勝負「楽しかった」

西日本新聞

 夏の甲子園は13日、沖学園(南福岡)が史上初の2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)と対戦。六回に突き放されるまで、番狂わせを予感させる奮闘をみせた。地方大会では2回1/3の登板にとどまった石橋幹投手(3年)が先発で好投。「亡くなったお父さんが見守ってくれている」と心を強く持ち、強豪にひるまず真っ向勝負した。

 石橋投手は小学低学年で野球チームに入った。きっかけは父琢さんとのキャッチボール。単身赴任の父と会えるのは月1回。父の球を受け止め、投げ返す至福の時間だった。だが、琢さんは石橋投手が中学2年時に不慮の事故のため49歳で死去。「それ以来、試合で父を思って投げ込んだ」

 迎えた最後の夏。南福岡大会は背番号「1」だったが股関節痛で調子が上がらず、2、3回戦で登板したのみ。活躍した斉藤礼(らい)投手(同)に甲子園で「1」を譲り「10」に。斉藤投手の完投で初戦は突破したが、「二枚看板」といわれながら、もどかしさが募った。「先発でいくぞ」。宿舎ロビーで鬼塚佳幸監督(36)に告げられたのは、大阪桐蔭との試合前夜。緊張でしばらく寝付けなかった。

 この日、甲子園は4万5千人の大観衆、しかも相手は優勝候補。「お父さん、見守っていて」と心でつぶやくと落ち着き、140キロ超の速球で押しまくった。アルプススタンドでは石橋投手の母宏美さん(46)が遺影を持たず見守った。「お父さんは幹の心にいるから…。いつまでも野球でつながっている」。何度も心の中で念じた末に、息子がみせた4回2失点の力投劇。天を見上げた。

 石橋投手は「試合中、楽しくて仕方なかった。負けた後に涙が出た。お父さんが力をくれて最高の夏になった」。大粒の涙に似合わぬ満面の笑みを浮かべて甲子園を去った。

=2018/08/14付 西日本新聞朝刊=

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