甲子園福岡勢2校の戦いを振り返って 記者ノート

西日本新聞

大阪桐蔭に敗れ、スタンドにあいさつに向かう沖学園の選手たち=13日 拡大

大阪桐蔭に敗れ、スタンドにあいさつに向かう沖学園の選手たち=13日

はつらつとプレーした折尾愛真の上地選手=10日

■沖学園 伸び伸びプレーで新風

 「甲子園の魔物って、どこにおるんかなあ」

 沖学園の吉村脩希選手(3年)は開会式で大観衆のスタンドを見渡し、つぶやいた。初出場でも気後れすることなく普段通りの伸び伸びとしたプレーで初勝利を飾った沖学園。2回戦の優勝候補の大阪桐蔭にも堂々とぶつかった。魔物がいたとすれば、沖学園の選手がのみ込んだのだろう。

 南福岡大会準決勝から取材してきた。「潜在能力が高い」(鬼塚佳幸監督)チームは一戦ごとに成長した。プレー面だけではない。甲子園初戦では相手選手が足がつった際、沖学園の控え選手が冷却スプレーや水を持って駆け寄った。普段からそうしたフェアプレーの精神がなければ、できないことだ。

 選手は試合前、円陣を組んで竹本隼人選手(同)の掛け声に続いて全員が声を出す。甲子園の室内練習場での言葉は「上を向いてスマイル。自分らしく、自信を持って、最高のプレーをすることが最大の戦術」。

 人生もきっとその言葉と同じ。3年間の高校野球で学んだこと、培った友情を大切にこれからの道を歩んでほしい。この夏の記憶は色あせない最高の宝物となるはずだ。

    ◇      ◇

■折尾愛真 大病を乗り越え笑顔

 折尾愛真は10日の初戦で西東京代表の日大三に敗れた。初勝利は遠かったが野球を心の支えにして、大病を乗り越えた2選手の姿が印象に残った。

 上地龍聖選手(3年)と古野皓大選手(同)。「野球をしたい一心で闘病生活を乗り越えることができた」と口をそろえる。

 上地選手は5歳のとき、血液のがんが見つかった。半年間入院し、抗がん剤治療を受けた。治療は成功。甲子園の試合をテレビで見て「いつか自分も」と考え、小学2年で地元野球チームに入った。

 心臓に穴があく「心房中隔欠損症」を患った古野選手は中学3年のとき、手術を受けた。「野球ができなくなるかも」。手術が失敗する可能性があることを伝えられた。野球への思いを胸に臨み、手術は無事に成功したという。

 試合では、上地選手が初回に先制点につながる左犠飛を放った。五回の守備から途中出場した古野選手は、1打席で無安打だったが懸命に白球を追った。

 2人のはつらつプレーに勇気づけられた人は多いはず。その中には「いつか自分も」と甲子園を目指す子どももいたのではないだろうか。

=2018/08/15付 西日本新聞朝刊=

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