脇本G1初戴冠 いわき平・オールスター

西日本スポーツ

 いわき平競輪(福島県いわき市)の30年7月豪雨被災地支援G1「第61回オールスター(優勝賞金=4400万円)」は19日の最終11Rで決勝戦があり、脇本雄太(29)=福井・94期・S1=が打鐘すぎから叩き先行を決めて、G1初タイトルを手にした。2着は俊敏に切り替えて捲った浅井康太。連覇を狙った地元の渡辺一成は3着。G1初出場で優出した山崎賢人は不利な単騎戦ながらも4着と奮闘した。5日間の車券売上額は114億1552万円で、目標の110億円を上回った。

■ヒーロー

 脇本の強さだけが目立った大会だった。誰も追いつけない、付いてもいけないスピードを見せつけた。東京五輪でのメダルを目指す日本自転車界希望の星が、競輪でも頂点に輝いた。

 14度目のG1決勝進出。ラインの先頭として近畿勢に数々の栄冠をもたらしてきたが、自分自身はタイトルに縁遠かった。だがトラック競技ナショナルチームでのトレーニングで鍛えられた脚力は、5月の平塚ダービーからさらに輝きを増し、決勝でも人気になった。しかし、番手の三谷竜生に差され続けた。「今年はG1決勝で3着(ダービー)、2着(宮杯)。誰より強く、優勝したい気持ちを持って走った」。決してスタイルを変えず、先行して勝つことにこだわった。それだけに納得の優勝。「すごくうれしい。これで、自分の中で先行日本一と言いながらレースに望める」。G1を逃げの決まり手で制したのは、2011年9月岐阜オールスターの浅井康太以来だ。

 レースは赤板1半で竹内が先行。それに負けじと打鐘前に猛然と追いかけた。「終HSからはがむしゃら。後ろの確認もできなかった」。必死に抵抗する竹内を終1角で叩いたころにはもう、マークの古性は離れていた。そこからは一人旅。BSでは安全圏とも言えるほどにリードを広げたが、「ゴール前で誰もいないのは意外だった。それだけ4角を回って余力がなかった」。無我夢中で、勝利へと突き進んだ。

 21日、息つく暇もなく、アジア大会自転車競技のためインドネシアへ出国する。「そこでの結果も求められる」。賞金の使途も「東京五輪へ向けた気持ちを充実させたい」。全ては2年後のために-。昨年末、W杯ケイリンで日本に14年ぶりに金をもたらしたスピードスターは、国民の夢を背負って戦い続ける。 (野口)

 ◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年3月21日生まれ、福井県福井市出身、29歳、94期。2008年7月デビュー。通算成績は713走で251勝、優勝40回(G1(1)回、G2(0)回、G3(6)回)。通算取得賞金は4億575万9600円。身長180センチ、体重72キロ、A型。リオ五輪出場(敗者復活戦敗退)

■競輪が変わった

 近畿ラインの3番手から15年ぶり2度目の優勝を狙った村上は、脇本に切れた古性の後位で苦戦。最終バックで並走になった金子を落車させて失格となった。それでも同地区の後輩が悲願のG1優勝を飾ったことには納得の表情。「世界(の自転車競技)で勝てる選手が日本の競輪でも勝つ。競輪自体が、見ている人でも分かるほどに変わってきた。自分もその新しい時代に続けるように」と、さらなる進化を誓っていた。

■新星山崎は4着

 G1初出場で優出した山崎は、4着に終わった。近畿3車を追いかけたが、終1角で渡辺のスパートのあおりをもらって後退。最後まで追い込んだが脇本との差は縮まらなかった。レース後は「決勝を経験できたのは大きい。走らないと分からないこともある。(G1優勝は)決して届かない所じゃない」と手応えを口にした。ただ「自力で優勝するとなると、もっと練習しないと」。最高レベルの走りを肌で感じ、精進の糧とする。

■戦い終わって

 浅井康(2着)脇本君が来るのは分かっていたが、対応できなかった。(準Vで2340万円をゲットして)これでグランプリ出場が濃厚? まだ最後まで分からないと思うので一戦一戦、稼いでいきたい。

 渡辺一(3着)前受けから中団、中団。全て読み通りの展開だったが、浅井君のブロックが効いた。悔しいけど、優勝以外は負け。

 中村浩(5着)チャンスがありそうだったけどね…。まぁ、取るべき人がG1を取ったってことですね。

 古性優(6着)少しだけ内を見た瞬間、脇本さんが伸びていって…。自分のミス。村上さんが後ろだったのに、本当に申し訳ない。

 竹内雄(7着)脇本君の力が違いすぎた。また一歩ずつ頑張っていきたい。

 金子貴(8着)落車したのは悔しいが、いい雰囲気で走れたし、これを次につなげていきたい。

【決勝戦VTR】

 渡辺-中村、竹内-浅井-金子、脇本-古性-村上、山崎で周回。赤板1角から竹内が踏み込むと、脇本も負けじとスパート。鐘3半でいったん止まったが、鐘4角から猛烈に加速。終1半で竹内を叩き切ると、そこから先は一人旅。浅井は、脇本に切れた古性の後位に切り替えると、7番手から捲ってきた渡辺を止めながら、古性を番手捲りして2着。

■競輪・義援金

 いわき市は19日、第61回オールスターの売上金のうち350万円を、平成30年7月豪雨の被災地に義援金として送るため、同市の清水敏男市長から、その目録をJKAの笹部俊雄会長に手渡した。JKAは8日に、競輪業界として650万円(JKA550万円、日本競輪選手会100万円)、いわき市から350万円の合計1000万円を、義援金として日本赤十字社に送ると決定していた。

=2018/08/20付 西日本スポーツ=

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