引退・杉内「水のムチ」で2156奪三振 担当記者に明かしたフォームの秘密

西日本スポーツ

 口数は多くない。どちらかといえば担当記者泣かせだっただろう。でも、ホークス時代の杉内俊哉のコメントにはいつも「味」があった。禅問答のような会話が楽しかった。

 例えば、投球前に左腕を真上に上げる独特のルーティン。「あれは、指先にたまった血液を下げているんですよ。僕、血行障害になったでしょ? だから『血よ、下がれ、下がれ!』と念じているんです。本当ですよ」といたずらっぽく笑った後に、こう続けた。

 「僕、いつも水になったつもりで投げていますからね」

 私の頭の中を「???」が駆け巡る。「縦長の筒があるとしますよね。自分がそこに入った水になったイメージで投げるんですよ。そうだな、水のムチかな」

 分かったような分からないような“解説”だったが、すべてが理にかなっていた。多くのプロの投手からも参考にされた、ゆったりとした「脱力フォーム」。水のムチに例えた腕を、フィニッシュの瞬間だけ実体化させる。それもリリースポイントの一点に集中させたからこそ、140キロ前後の真っすぐで、三振を奪い続けた。投球回を上回る2156個の奪三振数は、同世代の松坂大輔や和田毅も及ばない現役最多だ。

 あれほど暑かった夏が過ぎ去り、東京の街にも涼風が吹くようになった。プロ野球現役2位の通算142勝。私にとっての「杉内俊哉」が風になった気がした。 (西口憲一)

=2018/09/12 西日本スポーツ=

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