ホリエモンの「バスケ版ボールパーク構想」 今春からB1福岡の社外取締役

西日本スポーツ

 バスケットボール男子・Bリーグ1部(B1)ライジングゼファー福岡の社外取締役を務める堀江貴文氏が、集客力アップのためのアイデアを次々と打ち出して注目されている。初昇格の福岡は第1節の栃木ブレックス戦(福岡市民体育館)で連敗。それでも7日の第2戦を初観戦した堀江氏はBリーグ初代王者との熱戦に大興奮だった。「ホリエモン」の愛称で知られ、数々の事業で話題を振りまく“敏腕”実業家はB1ルーキーのクラブをどう変えていくのか。

 7日の試合前、堀江氏はグッズ売り場などクラブが手掛ける会場内のブース群を視察した。特に関心を向けたのが飲食ブース。カレーライスや焼き鳥、空揚げなど4店舗の食べ物を片っ端から試食した。グルメ関連アプリ「TERIYAKI」をプロデュースした実績もあり「得意分野」と自称した堀江氏は、早速こう提言した。

 「いろんなスタジアムやアリーナを回ったけど、グルメって結構集客に効く。アリーナのグルメのレベルが上がれば、集客の役に立つ」

 堀江氏は9月に、サッカー日本代表元監督の岡田武史氏がオーナーを務める日本フットボールリーグ(JFL)FC今治のホームゲームを視察したばかり。約30店舗が並ぶなど、スタジアムグルメの充実ぶりに目を見張ったという。福岡での具体的なメニュー案には言及しなかったが、クラブが12月から利用開始する新アリーナ、福岡市総合体育館で自らプロデュースするグルメの提供に意欲を示した。

 次に言及したのが、アリーナの有効活用だ。新アリーナは収容人数5000人。同じ福岡を本拠地とするプロ野球ソフトバンクのヤフオクドーム(3万8530人)やサッカーJ2アビスパ福岡のレベルファイブスタジアム(約2万2000人)と比べると規模は小さい。堀江氏はこのコンパクトさに加え、サッカーのスタジアムのように天然芝への負担を気にする必要がなく、雨の影響も受けない特性に着目し、トークイベントの開催を提案した。

 「例えば夜に試合がある日でも、クラブは(試合の準備のために)昼から施設を借りている。だったら別のイベントもしようよ、と。トークイベントはサッカーや野球場だと(広すぎて)やりにくいけど、(コンパクトな)アリーナならやりやすい。僕がやれば何百人かは見てくれる」

 この案の狙いは、バスケットボールに関心のない人にも会場に足を運んでもらい、専用アリーナの魅力を知ってもらうこと。飽きさせないように試合以外のイベントをどんどん盛り込むことで、リピーターを増やす目的もあるという。

 クラブは6、7日の栃木戦で子どもが楽しめる塗り絵コーナーを会場に設置した。堀江氏はこの点にも着目。大人に連れられてくる子どもたちが飽きないような環境づくりについてのアイデアも出した。

 「子どもって試合を見ないでしょ。遊んでいたい。FC今治では迷路を作っていたし、プロ野球の楽天はお化け屋敷を作っていた。迷路やお化け屋敷って、作るのにそこまで費用はかからないんですよ。ここに遊びに来たい、というふうにするのは難しくない。そういう子が小学高学年になるとバスケに興味を持ち、逆に親を呼ぶ。子どもはすごく大事ですよ」

 堀江氏は一緒に観戦したBリーグの大河正明チェアマンからリーグの魅力について説明を受けた際、バスケットボール人気が高まっている理由も聞いた。

 「日本は少子高齢化で、子どもの数が減っているのでチームスポーツが成り立たなくなってきている。その中で、バスケは“最少人数”でできるチームスポーツ。特に女子の人気が高く、日本で一番競技人口が多いスポーツになっている」

 福岡はミニバスケットボールのチームが多く、ブースター(ファン)予備軍を多く抱える地域。その子どもたちを引きつける施策の重要性を強調した。

 次に堀江氏が指摘したのはアクセスだ。現在のホームアリーナである福岡市民体育館は地下鉄の最寄り駅が福岡空港から6駅、JR博多駅からは4駅(いずれも乗り換えが必要)。新アリーナとなる福岡市総合体育館も福岡市・天神からバスで約20分と好アクセスが魅力だが、逆に注意すべきだという。

 「例えばサッカーJ1鹿島のホームは東京から遠いので、クラブはどうやって丸一日滞在させるかを考えている。逆に、都市ではたぶん“ふらっと”需要なんですよ。例えば日曜のデーゲームなら昼ご飯を食べてから“ふらっと”試合を見に来て、試合後はこの辺をぶらぶらして夕飯を食べて帰る。その“ふらっと”という感じにいかに入り込めるか」

 堀江氏をもってしても「たぶん答えはあるが、今ビシッと(これが)答えですというのはない」という難題。それでも“ふらっと”に付け入るサービスを考えながら、さまざまな企画を提供して試すスタンスが重要と強調した。

 そして、最後に提案したのが会場内のVIPルーム設置だ。

 「福岡の政財界の人たちにとって、バスケの試合を見に行くことがステータスになるようなVIPルームとか、ホスピタリティーに優れた部屋やメニューを作ってはどうか。もしかしたら福岡だけではなく、韓国や中国といったアジアも取り込めるかも」

 福岡市はアジアのリーダー都市を目指し、韓国や中国の富裕層を中心とした観光客やビジネスマンの受け入れ態勢づくりを進めている。その中で、堀江氏は観光の目玉の一つとしてもBリーグの活用を勧める。大河チェアマンは「マカオやタイでバスケの国際大会が始まっている。沖縄や福岡には(バスケットボール界の)ハブ(拠点)になってほしい」と望んでおり、ステータスを高める上でVIPルームの設置は大きな武器となる可能性を秘めているといえそうだ。

 7日の入場者数は3024人。同日、アルバルク東京が東京・渋谷で開催したホームゲームは3102人で、昨季王者と遜色ないにぎわいを見せた。開幕節だったことに加え、相手の栃木に米NBAでプレー経験のある元日本代表・田臥勇太がいたことも大きく、手放しでは喜べないが、堀江氏は「専用アリーナははまる」と言い切る。

 「NBAのレベルには届いていないけど、試合を見たら面白い。Bリーグは経営面でもすごいビジネスチャンス。ものすごいポテンシャルを感じる。福岡には普通のチア(RsunZ)とアイドルチア(RZ)がいる。アイドルチアって面白い。あれは今までみんな思いついていないと思うし“あり”じゃないか。演出ももっとうまくいくといいし、他にもいっぱいあると思う」

 社外取締役として、今後はグループLINE(ライン)を通じクラブに提案していくという。全国各地の多業種でのチャレンジ、次々に革新的なアイデアを出してきた実績を買われ、大河チェアマンからはBリーグの「イノベーター」に任命された。「どんどん注入していこうか」と張り切る堀江氏が、故郷福岡のクラブ、さらにはバスケットボール界に新風を吹き込もうとしている。

=2018/10/10 西日本スポーツ=

PR

バスケ アクセスランキング

PR

注目のテーマ